[2022_09_07_10]原燃、新工程示せず/再処理工場完工延期 (東奥日報2022年9月7日)
 
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原燃、新工程示せず/再処理工場完工延期

 日本原燃は7日、本年度上期としていた六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)の完工延期を決定した。延期は26回目。安全対策工事に不可欠な詳細設計「設計・工事計画の認可」(設工認)審査に時間を要しているため。新たな完工目標は示さなかった。年内に公表する。
 同日、県と村に延期を報告した。県庁で増田尚宏社長から説明を受けた三村申吾知事は「完工時期を見直すならば、新たな時期を明示するのが当然だ。今後の事業の進捗(しんちょく)に対し、県民の不安を引き起こしかねない」と新工程の提示を先送りした原燃を強く批判した。増田社長は「度重なる工程変更により、ご不安、ご心配をおかけし、おわび申し上げます」と陳謝した。
 再処理工場は2020年7月に新規制基準適合性審査に合格、重大事故対策など膨大な工事が必要となった。原燃は設工認を3分割し、冷却塔のみを初回分として同年12月に申請したが、竜巻対策で設置する防護ネットの耐震評価などの審議が長期化し、初回分はまだ認可されていない。
 増田社長は青森市内で開いた会見で、冷却塔を巡る審査に加え、再処理工場の設工認は新基準下で初めてで、対象設備・機器の明確化などに時間を要したと説明。「原発と違って多岐にわたる設備、機器があり、規制側の要求事項も増えてきた。原発のイメージを持ち過ぎていたのが反省点だ」と自身のマネジメント不足があったと認めた。
 原燃は審査の効率化を図るため、残る2回分の設工認を一括して11月に申請する。安全対策工事は、認可後でなければ着手できないもの以外は年内に終える計画。9月末までには工事全体のおよそ95%が完了する見込みという。
 新たな完工目標は、次に申請する設工認の状況を見極めて判断する考えだ。増田社長は延期幅に対し「2、3年もかかるようなものにはならない」とする認識に変わりはないとした。
 再処理工場で取り出したプルトニウムを燃料にするMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料工場も設工認に遅れが出ている。増田社長は「今は完工工程を変える気はない」としつつ「再処理側の影響を含めてしっかり評価する」と語った。
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