[2022_09_07_04]ザポロジエ原発周辺に「安全地帯」急ぐ考え IAEA事務局長が国連安保理に報告「壊滅的な出来事の恐れ」(東京新聞2022年9月7日)
 
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ザポロジエ原発周辺に「安全地帯」急ぐ考え IAEA事務局長が国連安保理に報告「壊滅的な出来事の恐れ」

 【ニューヨーク=杉藤貴浩、モスクワ=小柳悠志】国連安全保障理事会は6日、ロシアが占拠するウクライナ南部ザポロジエ原発を巡る公開会合を開いた。オンライン参加した国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、同原発周辺で相次ぐ攻撃を「火遊びだ。壊滅的な出来事が起こる恐れがある」と非難。安全地帯の設置に向け、ロシアやウクライナと協議を急ぐ意向を示した。
 グロッシ氏は同日、ザポロジエ原発についての調査報告書を公表。報告書は原発周辺での攻撃など一連の混乱について「原子力施設が軍事衝突に巻き込まれる史上初めてのケース」と指摘し、「関係国はただちに軍事行動を停止する必要がある」と求めた。
 報告書は攻撃がロシアとウクライナのどちらによるものかには触れず、原発周辺に安全地帯を設置する必要性を強調。安全性確保と支援の提供に向け「IAEAには具体的な計画がある」とし、現在は暫定的に同原発に駐在する2人の職員を常駐化させることが「不可欠」と訴えている。
 グロッシ氏は安保理会合で「作業員は極度に厳しい環境で働いている」と指摘。原発の安全性を妨げないよう、建物内の軍事車両や装備の撤去も求めた。
 会合には国連のグテレス事務総長も参加し「今こそ、安全確保のための具体的な措置について早急に合意する時だ」と強調。IAEAに対し「できる限りの支援をする」と約束した。
 安全地帯の確保はグテレス氏らが求める非武装化を含むとみられる。ロシアはザポロジエ原発周辺の軍事兵器の設置を否定しており、提言に応じるかは不透明だ。
 ロシア代表は会合で、同国はザポロジエ原発の安全性を保っていると主張し、「唯一の脅威はウクライナ軍からの砲撃と破壊行為だ」と持論を展開。ウクライナのゼレンスキー大統領は安全地帯の提言を支持した。米国の代表は、ロシア軍による原発周辺の軍事活動が原子力災害の危険性を高めていると非難した。
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