[2022_09_06_05]英の高温ガス炉開発計画 原子力機構が参加(東京新聞2022年9月6日)
 
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英の高温ガス炉開発計画 原子力機構が参加

 日本原子力研究開発機構は五日、英国の高温ガス炉開発計画への参加が決まったと発表した。高温ガス炉を含む次世代型原子炉を巡っては、岸田文雄首相が八月下旬、建設に向けた検討を政府内に指示したばかり。機構は、実験炉「高温工学試験研究炉(HTTR)」(茨城県大洗町)の開発や運転を通して得た知見の実証を英国で進めることで、高温ガス炉技術の国際競争力を高めたい狙いだ。
 英国は二〇三〇年代初頭までに高温ガス炉の実証炉稼働を目指しており、同国国立原子力研究所や原子力機構などで構成するチームを、原子炉や核燃料に関する予備調査を担う事業者として二日付で採択した。
 機構によると、英国の計画は三段階に分かれ、第一段階では今年十二月までかけて基本設計の予備調査を行う。第二段階で二五年ごろまでに設計を終えた後、第三段階の許認可や建設、運転に移る。今回参加が決まったのは第一段階のみで、第二段階以降に参加するには今後の公募で再び選ばれる必要がある。
 機構は、予備調査で実績を積んだ上で第二段階以降の計画への参加も目指す方針だ。「実証炉建設の経験を積み、国内の高温ガス炉開発にもつなげていきたい」としている。
 高温ガス炉は、核分裂エネルギーを発電だけでなく水素製造などにも併用する新型炉。冷却材にヘリウムガスを使うため高温の熱を効率よく利用でき、安全性も高いとされる。通常の原発(軽水炉)のように大量の水を必要としないため、立地の制約も少ない。脱炭素社会に資する次世代炉の一つとして、国際的に期待が高まっているが、実現性を疑問視する声も少なくない。(長崎高大)
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