[2022_08_21_02]映画になった元裁判長「原発で最高裁なぜ動かない」(毎日新聞2022年8月21日)
 
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映画になった元裁判長「原発で最高裁なぜ動かない」

 映画「原発をとめた裁判長」に込めた思い(下)

 「いい判決が続いています。最高裁も動かざるを得ないと思います」。2014年5月、関西電力大飯原発の運転差し止め判決を出した福井地裁の元裁判長・樋口英明さん(69)はこう語る。映画「原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち」をめぐるインタビューの後編は、樋口さんと映画監督の小原浩靖さん(58)に、その後の原発差し止め判決や映画への立地自治体の反応について聞いた。

 東京電力福島第1原発の事故後、原発の運転を差し止める判決は全国で相次いでいる。最近では21年3月、茨城県の日本原子力発電東海第2原発をめぐり、水戸地裁が「実効性のある避難計画が整えられていない」として、運転差し止めを命じる判決を出した。

 22年5月には北海道電力の泊原発をめぐり、札幌地裁が津波対策の不備を理由に運転を禁じる判決を出した。いずれも東電福島第1原発の事故の教訓を重く見た判決だ。樋口さんが裁判長を務めた福井地裁以降、今回の札幌地裁の判決で9例目となる。

 「人権意識が高い裁判官」

 樋口さんは一連の判決をどうとらえているのか。

 「いい判決が続いています。いずれも人権意識が高い裁判官だと思います。水戸地裁が指摘した避難計画は大きな問題です。人口が密集する日本で、大規模原発事故の避難計画など作れるわけがありません。札幌地裁の津波の話も、きちんとした防波堤ができていないのだから、誰が見ても運転できないのが当たり前です」

 樋口さんはこう評価した。ところが地裁の判決は高裁の控訴審で覆されることが多い。樋口さんの判決は18年7月、名古屋高裁金沢支部が「原発の危険性は社会通念上、無視しうる程度にまで管理・統制されている」として取り消し… (後略)
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