[2022_08_10_06]関西電力美浜原発3号機人身事故から18年 2004年8月9日二次系配管の破損で11名が死傷 この老朽原発を再稼働するな 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年8月10日) |
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2022年の長崎原爆慰霊の日、関西電力美浜原発3号機(1976年営業運転開始の年齢44年の老朽炉)では、別の慰霊の式が行われていた。 2004年に発生した800トンもの二次冷却材喪失事故(二次系冷却材の7割)により、高温の蒸気と熱水に襲われた下請け労働者11名の死傷事故。 直接原発の事故の伴う犠牲者としては今でも最大だ。 この再発防止を誓う慰霊式である。 ◎18年前の二次冷却材配管の爆発的破断 この事故は、高温高圧の熱水が通る二次系配管の爆発的破断により、130度の蒸気と熱水が建屋内に噴出、当時、定期検査を控えて、運転中にもかかわらず足場の設置作業などをしていた作業員5名が死亡、6名が重軽傷を負った。 一次系と違い直接炉心を冷やすためのものではないので、二次系配管の通る場所は放射線管理区域外だが、高温高圧の二次系配管が通っていた。 配管は、建設以来点検をしておらず、長い時間をかけて徐々に減肉、ほとんど肉厚がなくなる状態になっていた。 その配管が、この日、爆発的に破断し、大勢の人々を死傷させた。 このタイミングで破断したのはおそらく偶然だったのだろう。 ◎メルトダウンにも繋がりかねない 二次冷却材はなくなったら即メルトダウンするというわけではないが、一次系の冷却能力が下がるので蒸気発生器で分離されている一次系の温度や圧力が上がりだす。 その際、配管や炉心を守るために「加圧器逃がし安全弁」が開く。 この弁は、圧力変化を受けて開いたり閉じたりという動作を繰り返す設計になっているが、これが開きっぱなしで閉じなくなれば、一次冷却材喪失事故につながる。 また、二次系の喪失により、蒸気発生器内部でも危険な事態が起こる。 二次冷却材と一次冷却材は厚さ2ミリ程度の「蒸気発生器細管」と呼ばれる管を隔てているが、この細管は腐食により穴が開くことが多く、穴が開いている場合は栓をして漏えいしないようにしている配管がある。 美浜3号機の様な事故で、もし漏えい配管や漏えい寸前の減肉配管が多数あったとしたら、二次側と一次側の差圧が急激に上がり、大量漏えいが発生し、蒸気発生器細管の連続的破断事故になるかもしれない。 こうなると二次系だけではなく一次系の冷却材喪失事故になる。 ECCS緊急炉心冷却系が十分冷却材を入れられなければ、炉心が露出、メルトダウンにもなりかねない。 ◎老朽炉の危険性は明らかだ こうした事故の発生確率は、全原発一律ではないだろう。 古い原発ほど、各種設備や装置類が劣化し、こうした事故の確率は上がるであろう。 おりしも、美浜原発3号機は8月10日に再稼働する予定だった。 夏のピーク対策として、岸田政権による「動かせる原発は動かせ」とする無謀な指令の下、10月に再稼働を予定していた美浜原発3号機も2ヶ月前倒しして再稼働する計画に変更された。 ところが、今日現在、美浜原発3号機は動いていない。 冷却材が7トン漏えいしていたことが8月1日に発覚、ポンプのゴムシールのずれと想定したものの原因が特定できず、再稼働を延期した。 こうした政権の前のめりの再稼働指示が、原発を更に危険にさらす。 幸い、今回は再稼働を見送ったが、そもそもこんな老朽炉を動かすべきではない。 美浜原発3号機の再稼働を止めさせる取り組みをますます強めていこう。 |
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