[2022_08_01_08]検察審査会の全面的な検察庁の誤りの指摘に関する弁護団声明(関電不正マネー還流事件刑事告発弁護団2022年8月1日)
 
参照元
検察審査会の全面的な検察庁の誤りの指摘に関する弁護団声明

 本日、大阪第二検察審査会は、本件申立にかかる被疑事実のうち、下記(1)(2)の各被疑事実について「起訴相当」、その余のすべての被疑事実について「不起訴不当」の議決をした。

 (1) 被疑者八木誠、同岩根茂樹及び同森詳介に対する被疑事実4の業務上横領(追加納税分の補填)及び被疑事実5の特別背任(同)の各被疑事実
 (2) 被疑者八木誠、同森詳介に対する被疑事実6の特別背任(役員報酬分の補填)の被疑事実

 日本を代表する公益企業の幹部たちによってなされたこれほど明白な犯罪行為に対し、大阪地検は不可解にも、すべての被疑事実について不起訴処分をした。検察審査会はこの不起訴処分を是認せず、一部の被疑事実については「起訴相当」と結論付け、その余の事実についての全てについて不起訴不相当とした。
 これは、大阪地方検察庁の本件についての全ての判断が誤っているものと判断したものである。
 大阪地方検察庁は重く、かつ深刻に受け止めるべきである。
 弁護団としては、当然の結果であると受け止めている。
 関西電力という公共企業における重大な犯罪事実の存在は明らかである。
 大阪地検は直ちにすべての案件について捜査を再開、充実させ、速やかに起訴されたい。
 今回の検察審査会の判断は、検察審査会制度の趣旨である市民の健全な常識が反映された結果であって、高く評価したい。
 今回の関西電力役員による一連の事件は、原発の立地及び維持のために、公益企業である電力会社が原発地元の一部の企業や個人と癒着し、不明朗な金が注ぎ込まれるという原発問題の闇の部分が明るみになった事件であり、また、電力会社の幹部が、消費者に電気料金の値上げの負担を押し付けながら、その電気料金で自分たちの損失を解消したという倫理観の喪失を赤裸々に証明した事件である。これらの事件を起訴すべきことは当然であり、不起訴とした大阪地検の判断は市民の感覚とは甚だしく遊離している。
 近年、2019年参議院選挙における河井案里候補陣営による大規模な買収事件、東京高検黒川弘務元検事長の賭けマージャン事件、菅元首相の長男の勤務先である「東北新社」による総務省幹部への接待事件など、検察庁の判断が検察審査会によって覆される事例が相次いでいる。検察は、自らの判断が市民感覚と甚だしくずれていることを猛省すべきである。まして、今回の事件については、関西検察のOBと関西電力の密接な関係が取りざたされている。大阪地検は、市民の合理的な疑念を晴らすためにも、直ちに再捜査に着手して、起訴相当とされた被疑事実のみならず、不起訴不当とされた被疑事実についても速やかに起訴すべきである。
 大阪地検トップの検事正に就任した山本真千子氏は、6月28日、検察庁が入居する大阪中之島合同庁舎(大阪市福島区)で記者会見を開き、「府民が安心して生活を送れる地域社会の構築に貢献したい」と抱負を述べた。
 大阪の犯罪情勢については「治安の指標となる重大犯罪などは全国的にみて高い発生件数」と分析。「一つ一つの事件に誠実に向き合い府民、国民の負託に応えたい」と意気込んだ。
 そうであるならば、まず、このような重大事件(「巨悪による巨大事件」)に誠実に向き合い、府民、国民の負託に答えて頂きたい。

 以上
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