[2022_07_29_05]「革新的軽水炉」2030年代に運転 経産省が工程表案(産経新聞2022年7月29日)
 
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「革新的軽水炉」2030年代に運転 経産省が工程表案

 経済産業省は29日、高い安全性を持つとされる次世代の革新的原子炉(革新炉)の開発や実用化の工程表案を作成し、有識者会議に示した。革新炉はまだ実用化には時間がかかる技術だが、ウクライナ戦争などでエネルギー安全保障への懸念が高まる中、工程表を示すことで民間の取り組みを加速させるねらいがある。有識者からも評価する声が多かったが、政府が原発の新増設を明言しない中では「絵にかいた餅になる」といった指摘も挙がった。
 革新炉は同時に複数の炉型の研究が進んでおり、進捗(しんちょく)度合いもそれぞれ異なる。原発は一般的に「実験炉」「原型炉」「実証炉」「実用炉」の順番で開発されるが、最も進んでいるのが既存の原発の技術が応用可能な「革新軽水炉」で、2030年代に実用炉の運転を開始するとした。炉心溶融が発生しないとされる「高温ガス炉」はほぼ同じ時期に実証炉の運転を始める。小型で事故確率の大幅低減が期待できる「小型軽水炉」は2040年代前半で実証炉の運転を目指すなどとした。
 政府は脱炭素社会への転換には今後10年間で150兆円の投資が必要と試算。このうち20兆円は政府が支援する考えを示している。27日の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の初会合で、岸田文雄首相はGXに欠かせない原発について「再稼働とその先の展開策」を示すよう指示しており、革新炉開発も支援の対象となる可能性がある。(蕎麦谷里志)
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