[2022_05_19_07]原発処理水の放出計画を了承 規制委、7月中にも正式認可(河北新報2022年5月19日)
 
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原発処理水の放出計画を了承 規制委、7月中にも正式認可

 原子力規制委員会は18日の定例会合で、東京電力が福島第1原発事故に伴う処理水の海洋放出に向けて申請した実施計画の審査書案を了承した。放出設備に安全性の問題がないことを確認した。約1カ月間のパブリックコメント(意見公募)を経て7月中にも正式認可する見通し。
 東電の計画では、処理水に含まれる放射性物質トリチウム濃度が国の基準を下回るよう海水で希釈する。海底トンネルを新設し、沖合1キロ地点から放出する。
 規制委は、放出設備の性能や異常事態発生時の対応を審査した。移送流量や緊急遮断弁の動作などを確認した上で「設備の設計は妥当」と結論付けた。
 原発構内は処理水をためたタンク群で飽和状態にある。放出によって今後の廃炉作業に必要な施設を整備するエリアが確保され、「原発全体のリスク低減が図られる」と評価した。
 一方、東電がトリチウム以外に測定する放射性核種は現時点で定まっておらず、「放出開始までに別途確認する」と記載した。
 規制委は19日〜6月17日に実施する意見公募の内容を踏まえ再度、審査書を定例会合に諮る。更田豊志委員長は「多くの意見が寄せられると予想され、頑張っても認可は7月になると思う」と述べた。
 東電は2021年12月に審査を申請し、規制委は計13回の審査会合を開いた。規制委の認可と地元の事前了解を得た後、設備工事に着手する。23年春ごろの放出開始を目指している。

[処理水] 東京電力福島第1原発の原子炉建屋に流れ込んだ雨水や地下水が、溶け落ちた核燃料(デブリ)に触れて発生する汚染水を多核種除去設備(ALPS)で浄化し、放射性物質をこし取った水。除去が難しい放射性物質トリチウムが含まれる。放出時は海水を混ぜ、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満に薄める。2021年度の汚染水の1日当たり発生量は約130トン。処理水の保管量は今年3月末時点で約129万トンで、上限量(約137万トン)の約95%に達した。タンクは23年夏から秋に満杯になるとされる。
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