[2022_04_05_02]京都大原子炉、2026年に運転終了へ「使用済み燃料行き先見えない状況」(京都新聞2022年4月5日)
 
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京都大原子炉、2026年に運転終了へ「使用済み燃料行き先見えない状況」

 京都大は5日、複合原子力科学研究所(大阪府熊取町)に設置されている研究用原子炉「KUR」(出力5千キロワット)の運転を2026年5月で終了し、廃炉にする、と発表した。今後、国との間で施設解体に必要な費用負担など、廃炉作業に向けた協議を行う。
 大学が持っている教育・研究用原子炉は現在、全国に3基しかなく、京大はこのうちKURを含む2基を所有している。がん治療をはじめとする医学、物理学など幅広い分野の研究に活用されてきたほか、実習を通じて原子力分野の人材育成に大きな役割を果たしてきた。
 しかし、東京電力福島第1原発事故後に強化された安全規制に対応するため、同研究所は14年から約3年間にわたってKURの運転を停止し、再稼働後もセキュリティー強化に努めるなど運営コストが増大。また、使用済み核燃料を引き取る米国との取り決めにより、同燃料の取り出し期限が26年5月に迫っているほか、1964年の初臨界から50年を超える施設の老朽化で、維持管理にかかる負担が課題となっていた。
 同研究所では、KURの炉心で発生する中性子を取り出し、さまざまな実験に使用している。運転終了に伴う影響を最小限にとどめるため、中性子を発生させる代替装置の整備を目指すほか、日本原子力研究開発機構(本部・茨城県東海村)の研究炉など学外施設の利用を検討する。
 同研究所にあるもう一つの原子炉施設「KUCA」(出力100ワット)は今後、燃料ウランを高濃縮から低濃縮に切り替え、継続利用する方針。
 同研究所の中島健所長は「KURは設置以来、素晴らしい研究成果を上げてきた貴重な原子炉。使えるものならずっと使いたいが、施設も古くなり、使用済み燃料の行き先もなかなか見えない状況。安全第一でやっていかなくてはならないことを考えると、これが潮時ではないか」と話した。
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