[2022_03_26_01]電力不足は原発と関係ない 火力が緊急停止するような地震であれば原発も自動停止する 他地域の原発から融通 連係線の容量制約のために機能しない 上岡直見(環境経済研究所(技術士事務所)) (たんぽぽ2022年3月26日)
 
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電力不足は原発と関係ない 火力が緊急停止するような地震であれば原発も自動停止する 他地域の原発から融通 連係線の容量制約のために機能しない 上岡直見(環境経済研究所(技術士事務所))

2022年3月22〜23日の東京電力管内の電力逼迫警報に関して「原発が動いていれば電力不足はなかった」との説が流布されているが、停電の不安に便乗して再稼働を促進するためのデマである。電力不足は3月16日の地震による火力発電の停止の影響があるが、かりに原発が動いていても、火力が緊急停止するような地震であれば原発も自動停止する。点検して再開するには原発のほうが火力よりもはるかに手間がかかるから、安定電源ではない。
 2022年1〜3月の東電の需給実績では1〜3月の最大は1月6日の5374万kWであり、この時の供給力は5374万kWである。一方で3月22日の最大需要実績は4534万kWで、1月6日よりはるかに低く、地震で止まった454万kWや雨天による太陽光の出力低下を除いても設備的な供給力そのものの不足ではない。

【図1】 電力不足は東電のオペレーション(発電所の運転計画)の不適切が原因である。

 地震の影響を受けない他地域の原発から融通を受けるという意味だとしても、連係線の容量制約のために機能しない。ことに周波数変換を介する東西連係線が弱いことは以前から問題となっているのに対応が遅れている。現在でも210万kW(原発2基分ていど)しかない。リニア新幹線に7兆円も投入することを考えれば、それよりはるかに低い費用で電力の安定供給ができる。
 エネルギーバランスからも原発は必要ない。2020年度には一次エネルギー供給のうち原子力は2%にもならない。

【図2】これから各地の原発を漸次再稼働したところでたかが知れている。むしろ利用側の効率を少し改善するだけで原子力など飛んでしまう量が捻出できる。再生可能エネルギーの導入加速も望ましいが、その前に各分野での省エネが必須であり、これを前提としないと再生可能エネルギーも促進されない。
【図2】
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