[2022_03_22_03]寒冷地対策強化を提言 日本・千島海溝地震、被害最小化へ報告書―中央防災会議(時事通信2022年3月22日)
 
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寒冷地対策強化を提言 日本・千島海溝地震、被害最小化へ報告書―中央防災会議

 政府の中央防災会議の作業部会は22日、北海道から東北地方の太平洋沖の日本海溝・千島海溝沿いを震源域とするマグニチュード(M)9クラスの地震対策に関する報告書を公表した。積雪による津波避難の遅れや低体温症への対応など、寒冷地特有の課題に対する防災施策の強化を提言。被害の最小化に向け、避難施設の整備や防寒機能を備えた避難場所、備蓄の充実を求めた。
 作業部会は昨年12月、両海溝沿いで最大クラスの地震が起きた場合の被害想定をまとめた。北海道から千葉県にかけて甚大な津波被害が生じ、死者数は最悪約19万9000人に上ると推計。冬は吹雪や積雪で避難速度が落ちて被害が拡大すると指摘したほか、低体温症で死亡リスクが高まる人は約4万2000人と見込んだ。
 一方、早期避難を徹底し、一時的に逃げ込む津波避難タワーを活用することで、犠牲者は8割減らせるとの試算も示した。
 報告書は想定を踏まえた対策を提示した。津波から逃げる距離や時間を短縮するためタワーやビルの整備を提言。積雪や厳しい寒さを考慮し、避難経路に囲いを付け、避難場所には暖房器具や乾いた衣服、発熱剤入り非常食、防寒具の備蓄を求めた。インフラ施設の耐震化を進める必要性も挙げた。
 災害発生後の被災地支援についても言及。積雪寒冷下では、救助や物資運搬に時間がかかるなど広域支援が十分に機能しない恐れがあると指摘し、人員と防寒装備の確保、活動計画の作成と訓練の実施を求めた。
 また、M7以上の地震が発生した場合、M9クラス地震の続発に備えた情報発信の仕組みづくりを要請。先発地震から1週間程度、避難場所や避難経路、備蓄の確認を促す注意喚起が必要とした。
 政府は今回の報告書に基づき、対策の方針を盛り込んだ基本計画(2006年策定)の見直しに着手する。死者数など想定される被害の具体的な減少目標を設ける。二之湯智防災担当相は22日の閣議後記者会見で、「巨大地震はいつ発生するか分からない。関係省庁や自治体と連携し、スピード感を持って全力で防災対策を推進していきたい」と述べた。
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