[2022_03_18_12]チェルノブイリ原発の外部電源が不安定に ザポリージャ原発では「不発弾処理」の爆発 保障措置システムの停止はチェルノブイリ原発で継続 福島第一原発事故と同様に職員は交代できないまま 3/15【IAEA第22報】 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2022年3月18日)
 
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チェルノブイリ原発の外部電源が不安定に ザポリージャ原発では「不発弾処理」の爆発 保障措置システムの停止はチェルノブイリ原発で継続 福島第一原発事故と同様に職員は交代できないまま 3/15【IAEA第22報】 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

  
◎ 現在最も深刻な問題は、チェルノブイリ原発で211名と言われる現地の技術者と警備担当者の交代勤務が認められていないことです。
 チェルノブイリ原発は周囲30キロ圏が現在も立ち入り禁止ゾーンで、この原発の管理と監視任務に当たる職員は、約50キロ離れたところに事故後に人工的に建設されたスラブチチ市に家族と共に住んでいます。

◎ この間は専用の鉄道で結ばれており、通勤をしています。
 ロシア軍に制圧された際に、この鉄道や設備類がどうなったのかがわかりませんが、スラブチチ市もロシア軍に制圧されたと見るのが自然でしょう。
 そのため、市内から原発への交代勤務者を輸送する鉄道が動いていない可能性があります。
 また、外部との接触を断つ目的で、ロシア軍が勤務の交代を認めていない可能性もあります。

◎ いずれも、IAEAも明確にしていません。ただし、IAEAは声明文の随所に「原発外にいる責任者と連絡を取った結果」という、意味深な婉曲表現で、おそらくスラブチチ市にいるであろう原発管理者からの情報を織り交ぜています。
 廃炉になったとは言え、使用済燃料プールには約2万本の燃料体が保管され、さらに敷地内外に膨大な量の汚染廃棄物が積み上がっているチェルノブイリ原発。
 ロシア側は「ダーティボムを製造しようとしている」などとして、ここを制圧目標の第一にしていたようですから、容易に外部から人間を受け入れないだろうと懸念します。
 グロッシ事務局長も最初の頃はチェルノブイリ原発に行かせろとロシア側に要求していましたが、最近はいわなくなりました。
 何らかのプレッシャーか、取り引きがあったのかもしれません。

3/15【IAEA第22報】の抄訳です。
 ウクライナ規制当局は15日、チェルノブイリ原子力発電所が全国の電力網に再接続され、電力を非常用ディーゼル発電機に依存しなくなったとIAEAに報告したと、グロッシ事務局長は述べた。
 3月9日にすべての外部電源を失い、予備電力としてディーゼル燃料に頼らざるを得なくなった。先週末にウクライナの専門家チームが発電所と送電網を結ぶ2本の損傷した送電線のうちの1本の修復に成功した。
 3月14日16:45 (中央ヨーロッパ標準時)から、この送電線は原子力発電所に必要な電力をすべて供給しており、ディーゼル発電機は停止されていると、ウクライナ規制当局は述べた。
 また、近くのスラブチチ市への電力供給もしている。2本目の高圧送電線の補修が可能かどうかは不透明だ。【中略】
 規制当局は本日初めて、チェルノブイリに関する情報を得たが、「ロシア軍によって管理されている」ため、IAEAの質問すべてに対して「常に詳細な回答をする」ことはできないと述べた。
 これは、3月4日以来ロシア軍によって支配されているザポリージャ原子力発電所についても同様であった。【中略】
 規制当局によると、ザポリージャ原子力発電所の職員は、3月4日の侵攻後、ロシア軍が現場に残留する不発弾を爆発させたという報告を確認したという。職員は事前に知らされていなかったという。
 規制当局は最近、損傷した訓練センターや原子力発電所の他の場所で発見された不発弾を探知し、処分するための作業が進められていることをIAEAに伝えた。【後略】
 *これまで、IAEA事務局長声明をその都度、翻訳ないし抄訳してきましたが、状況が膠着しはじめています。
 以後は、現状と変化があった場合に、その点についてお知らせします。
KEY_WORD:ウクライナ_原発_:FUKU1_:廃炉_: