[2022_03_18_03]社説:東北で震度6強 リスク低減を進めねば(京都新聞2022年3月18日)
 
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社説:東北で震度6強 リスク低減を進めねば

 2022年3月18日 16:05
 東北地方を強い地震が襲った。
 16日深夜に宮城・福島両県で最大震度6強を記録、関東地方なども含め、広範囲に被害が出た。
 これまでに死者3人、負傷者は180人を超える。崖崩れや道路の亀裂、住宅の損壊などが報告されている。大規模な停電が起き、一部地域では断水が続いている。
 政府や自治体は、被災者の救援とインフラの復旧に全力を挙げてほしい。避難所の防寒や新型コロナウイルス対策も徹底すべきだ。
 気象庁によると、震源は福島沖の太平洋で深さ57キロ、マグニチュード(M)7・4。11年前の東日本大震災の余震域だという。
 この震源域では昨年2月にも今回と同じ震度6強の地震が発生している。今後1週間程度は同規模の地震が起きる可能性があるといい、警戒が必要だ。
 今回の地震では、東北と関東の14都県で最大220万戸が停電した。水が使えず、治療に支障が出た病院もある。
 災害に備えたインフラの再点検が改めて求められる。
 衝撃的なのは、東北新幹線の脱線だ。宮城県内を走行中の1編成(17両)のうち16両が線路を外れた。営業運行中の新幹線が脱線する事態は2004年の新潟県中越地震以来、2例目だ。
 乗客ら78人にけがはなかったが、橋脚の損傷やレールのゆがみなどが見つかっている。JR各社は重く受けとめる必要がある。
 新幹線は地震の初期微動を検知して自動停止させる。車両と線路には脱線しても転覆しないようにする装置もある。今回は脱線でとどまったが、対向列車があれば衝突する可能性もあり得た。
 東北新幹線は昨年2月の地震でも電柱や橋脚、梁(はり)、レールなどが多数損傷している。地震の多発地域で運行の安全をいかに守るか、十分に検証しなければならない。
 原発の安全性についても再確認が必要だ。
 東京電力福島第1原発2号機の使用済み核燃料プールの冷却は、7時間半にわたって停止した。東北電力女川原発など他の複数の原発でも冷却が一時停止した。
 東電は「冷却の水温は制限値を超えない」と説明したが、より強い揺れで大きなトラブルにつながる懸念を抱かせた。
 福島原発2号機のプールからの使用済み燃料取り出しは2年後に始まることになっている。
 原発建屋には多くの燃料が残されている。取り出しを早める議論を加速させるべきだ。
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