[2022_03_11_08]福島第一原発 見えない廃炉の最終形 ロードマップと「法的責任」(福島県)(テレビユー福島2022年3月11日)
 
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福島第一原発 見えない廃炉の最終形 ロードマップと「法的責任」(福島県)

 30年から40年とされる福島第一原発の廃炉作業。しかし、どういう状態を廃炉の終わりなのか。その姿はいまも明らかになっていません。100年以上かかると指摘する専門家もいる中、東電の廃炉作業の最高責任者は…
 東電・小野明氏「30〜40年で廃炉を終えるんだという形で様々な検討のタイミングとか段取りを詰めていく」
 政府と東電が示している廃止措置に向けた取り組み、いわゆる「中長期ロードマップ」は、そもそも廃炉計画ではないと、専門家は指摘します。
 東洋大・尾松亮客員研究員「政府や東電は廃炉を前に進めるために海洋放出だとか40年で廃炉だとか言ってきましたけど日本の法律上の廃止計画は、福島第一原発については提出もされていないですし、福島第一原発では廃炉は法的には行われていない」
 福島第二原発のように、事故を起こしていない原発の廃炉計画は、法律で定められたもので、完了要件も定められています。ところが福島第一原発は「特定原子力施設」として、一般の原発と異なる扱いとなっていることから、廃炉計画もなく、完了要件もないのです。つまり「ロードマップ」は、法的な責任がない廃炉計画と言えます。尾松さんは、現状のままであれば、「最悪のケース」として、次のような事態も想定されると話します。
 尾松氏「自分たちのさじ加減で、自分たちのいま行っている工程を終了することができる。そして、そのいい加減な状態を地元に押しつけて、ある意味事実上撤退することが可能になってしまう」
 事故を起こしたアメリカのスリーマイルでは、廃炉の完了を定めた法規則があり、国や事業者の都合だけでは、撤退ができない仕組みが整っています。
 尾松氏「スリーマイル原発事故は事故が起きて40年以上経つが、廃炉は終わっていません。アメリカでもそういう法規則で事故原発の廃炉をどこまでやるかということで事業者も政府も義務を負う形にしている」
 原発事故から11年。地域と深く関わる廃炉の最終的な形をどうしていくのか。こうした中、地元からはひとつの形を提案する地元の声があります。福島県富岡町で会社を経営している遠藤秀文さん。震災と原発事故の経験を後世に残すため、福島第一原発を「世界遺産」にしてはどうかと呼びかけています。
 遠藤秀文さん「(福島県は)地震・津波という自然災害に加えて原発事故になったということで、多重災害を経験した場所は世界で例がない。この経験をどのようにこれから国内外に伝え生かしていくか非常に大事なところかなと思っている」
 また「世界遺産」を目指すことで、避難住民の帰還が進まない被災地の現状を打開したいという思いもありました。
 遠藤さん「結果的に世界遺産になっていろんな人に注目されて、あそこで学ぶべきことがすごくいろんな役に立ったという風になって、被災地域がすごくポジティブな見方をされた時に避難している人もいずれやっぱり戻ろうかなと故郷に戻ろうかなという…もしかしたらその背中を押すひとつになるかもしれない」
 そして、遠藤さんは、廃炉に向けては住民を交えた話し合いの場を設けることが大切だと話します。
 遠藤さん「ひとつのビジョンをそろそろ作っていく必要があるかなと。これは一部の人が作るんじゃなくて住民もしっかりそこに入りながら、みんなで関係者でつくっていく。そのビジョンづくりがこれから必要だと思っている」
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