[2022_03_07_06]処理水海洋放出の「理解広がらず」52.5% 福島県民世論調査(福島民報2022年3月7日)
 
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処理水海洋放出の「理解広がらず」52.5% 福島県民世論調査

 福島民報社は福島テレビと共同で福島県民世論調査(第36回)を実施した。東京電力福島第一原発の放射性物質トリチウムを含んだ処理水を海洋放出する政府方針について、国内外での理解が広がっているかを尋ねたところ、「全く広がっていない」「あまり広がっていない」との回答が合わせて52・5%に上った。「かなり理解が広がっている」「少しは理解が広がっている」との回答は合わせて38・7%だった。全国世論調査でも国民の賛否が割れる中、国内外での理解が浸透していないと感じる県民が多い実態が浮き彫りとなり、改めて政府の説明不足を裏付ける形となった。
 処理水の海洋放出方針に関する理解の広がりについての回答は【グラフ(1)】の通り。「全く広がっていない」は15・4%、「あまり広がっていない」は37・1%、「かなり理解が広がっている」は10・0%、「少しは理解が広がっている」は28・7%で、「わからない」は8・8%だった。
 海洋放出方針の理解が広がっていないと感じる県民が多い背景には、政府による国民理解の醸成に向けた説明や風評抑制対策などの取り組みが不十分と捉えていることの表れとみられる。
 政府方針を巡っては、処理水への正しい理解が広がっていないとして県内のあらゆる産業、市町村議会などから新たな風評発生への懸念や慎重な対応を求める声が根強い。政府は昨年4月に処理水の海洋放出方針を決定し、12月には海洋放出処分に向けた風評抑制対策や事業者支援策などの行動計画をまとめたが、風評対策などの目新しさはなく、県民からは効果を疑問視する声が出ている。
 岸田内閣への支持動向で処理水に関する回答を見ると、岸田内閣を「支持しない」と答えた人は「全く広がっていない」「あまり広がっていない」を合わせて72・5%で4分の3に迫った。岸田内閣への支持について「わからない」と回答した人も「全く広がっていない」「あまり広がっていない」を合わせて57・2%で過半数を占めた。
 一方、岸田内閣を支持すると答えた人は「かなり理解が広がっている」「少しは理解が広がっている」を合わせて49・8%で、「全く広がっていない」「あまり広がっていない」を合わせた42・6%をやや上回った。
 年代別で見ると、30〜70代はすべて「全く広がっていない」「あまり広がっていない」を合わせた回答割合が過半数を占めた。これに対し、80歳以上は「かなり理解が広がっている」「少しは理解が広がっている」を合わせた回答割合が過半数となった。
 福島民報社加盟の日本世論調査会が郵送方式で行った原発に関する全国世論調査では、処理水を薄めて海に放出する処分方法について「賛成」が32%、「反対」が35%、「わからない」が32%だった。

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 岸田政権に望む東日本大震災からの復興に向けた政策を聞いたところ、「福島第一原発の廃炉、処理水対策」との回答が36・1%で3分の1以上を占め、全ての選択肢の中で最多だった。東京電力福島第一原発の廃炉と処理水対策は本県復興の大前提として、国が前面に立って取り組むよう求める県民の姿勢が改めて鮮明になった。
 今後の復興政策についての結果は【グラフ(2)】の通り。9項目の中から一つだけ選ぶ方式で聞いた。「帰還困難区域全域の除染と避難指示解除」が13・5%で2番目に多く、「風評・風化対策」が12・9%、「景気経済対策」が10・1%などと続いた。
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