[2021_12_15_01]2万カ所の点検進める柏崎刈羽原発7号機(産経新聞2021年12月15日)
 
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2万カ所の点検進める柏崎刈羽原発7号機

 核物質防護の不備や安全対策工事の未完了など不祥事が相次ぐ東京電力柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)7号機。このうち、床や壁の貫通部での安全対策工事の未完了は計94カ所見つかり、施工を行うとともに、貫通部や貫通部に見える箇所約2万カ所について工事漏れがないか総点検を進めている。その現場を見てきた。

 懐中電灯と台帳

 東電は11月25日、柏崎刈羽原発7号機コントロール建屋地下2階の一室を報道陣に公開した。コントロール建屋は中央制御室などが入る建物だ。
 部屋の中に入ると、配管などが壁を貫通している箇所に赤色や青色のシールが貼られ、東電社員2人が懐中電灯を片手に、必要な工事がきちんと完了しているかどうかを指差し確認していた。
 「火災が広がるのを防ぐ工事が必要な箇所には赤いシール、浸水防護の工事が必要な箇所には青いシールを貼り、その貫通部にどのような工事が必要かを一目で分かるようにした。そのうえで、必要な工事がきちんと施工されているかをチェックしている」(東電担当者)
 点検箇所は全部で約2万カ所。中には、埋設された電線管の貫通部のように、どこからどこにつながっているのか目視だけでは確認できない約2700カ所も含まれている。
 約2万カ所にはそれぞれナンバーが付けられ、台帳で管理。社員は台帳に記載された箇所について、シールで示された内容の工事がきちんと施されているか確認していく。

 完了は来年2月ごろ

 東電は、安全が第一に求められる原発で、安全対策工事の未完了が多数見つかったことを重く受け止め、貫通部に必要な工事がきちんと完了しているかの総点検を3段階に分けて実施している。
 第1段階は、台帳をもとに個々の貫通部で工事が完了しているかをチェック。第2段階では一つの壁、一つの床ごとに貫通部をみていき、面≠ナ工事の完了を確認。面の中に見落としている貫通部がないかも確認する。最後に、貫通部がある部屋ごとに工事漏れがないかを改めてチェックする。点→面→空間と順を追って徹底的に総点検を行い、工事漏れゼロを目指している。
 現在、約2万カ所に対し第1段階の点検を進めており、11月末時点で「6割ほどの点検が完了している」(柏崎刈羽原発の稲垣武之所長)。同時点で、第2段階については着手したばかりで、第3段階は未着手の状態だった。総点検全体の完了時期は来年2月ごろを見込む。
 稲垣所長は安全対策工事の未完了問題について「現場がこの工事は何のためにやっているのかを理解し、意識して工事に臨む必要があった」としている。

 他の工事でも問題

 同原発の工事をめぐっては、貫通部以外にも問題が発覚。原発の新規制基準では、火災感知器を消防法に基づいて設置するよう求めているが、これが守られていなかった。
 同法施行規則では、火災感知器は換気口などの吹き出し口から1・5メートル以上、煙感知器については壁や梁(はり)から0・6メートル以上離れた場所に設置することになっている。ところが、計105個が規定された距離より近い場所に設置されていた。今後、是正工事を行う。
 さらに、重大事故の際に使用する設備「フィルター付きベント」の部品(伸縮継手)で、品質確認のために行ういくつかの試験の一部が行われなかったことも発覚。今後対応する。
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