[2021_12_10_04]1F廃炉最前線…‘使用済み燃料取り出し’(福島中央テレビ2021年12月10日)
 
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1F廃炉最前線…‘使用済み燃料取り出し’

 11日で震災から10年と9ヶ月になるが、福島第一原発では廃炉作業が粛々と進められている。
 事故当時、稼働中だった1号機から3号機の底には、溶け落ちた核燃料=燃料デブリがあり、この取り出しが、最も困難とされている。
 一方で、建屋の上には水が溜まったプールがあり、1号機と2号機には今も大量の‘使用済み燃料’が取り残されている。
 この使用済み燃料の取り出しも非常に困難を極める、世界で前例のないミッションだ。
 わたしたちはおとといの8日、福島第一原発に入った。
 4号機の原子炉建屋の内部に入り、‘オペフロ’と呼ばれるエリアを取材した。
 そこは、原子炉建屋の最上部で地上から約30メートルほどの高さにあり、原子炉の上蓋や使用済み燃料を保管するプールなどがある場所だ。
 使用済み燃料は‘崩壊熱’を持ち、水で冷し続けれなければならない。
 ただ、4号機のプール内の中にある燃料ラックは’空’だった。
 4号機の使用済み燃料の取り出しは2014年に既に完了している。
 経済産業省の木野正登参事官によると「4号機は炉心溶融していない、当時定期検査中の建物だったので、建屋内の線量は非常に低かった。なので有人作業が行えた」とのこと。
 4号機は3号機からのガスが流入して、水素爆発した。
 当時は定期検査中で、原子炉に燃料はなく、メルトダウンを起こしていないため、メルトダウンした1号機から3号機と比べ、放射線量が低く、作業員が、現地で作業をすることが出来た。
 他の原子炉建屋では10年以上経った今でも数百から数千ミリシーベルトという、人が長時間滞在する事ができない、または立ち入ることができないほどの線量が確認されている。
 この日、私たちは「遠隔操作室」という場所も取材する事ができた。
 その部屋は厳重に管理され、5人ほどの若いオペレーターたちが10台以上のモニターを見ながら作業にあたっていた。
 若いオペレータたちが手に持っていたのが、ゲーム機のコントローラーとほぼ同じ形の機器で、それを操作して、線量が高いオペフロにある重機などを動かし、線量調査やガレキの撤去などを行う世界で例のない「遠隔操作」をしていた。
 木野参事官は遠隔操作について、「カメラ越しに映像を見ながらロボットを動かしていかなければいけないので、そのための訓練を相当やって臨んでいる」と話す。
 失敗が許されないだけに遠隔操作には時間をかけて人材育成をしているという。
 2号機オペフロ内に設置されたカメラが映し出す映像からは、これから取り出す予定の燃料プールが映っていたが、床にガレキなどは少なく、きれいな印象を受けた。
 2号機では3年後に取り出しを始める計画だ。
 そして、最も難しいのが1号機。
 プールの上には、水素爆発で破壊され、汚染された機器など大量のガレキが残されていた。
 これらを遠隔操作で撤去しなければならず、取り出し開始は、なんと、6年後になる見通しだ。
 福島第一原発の全ての使用済み燃料は2031年度までに取り出しを完了させる予定だ。
 11日で原発事故から10年と9ヶ月となるが、福島第一原発を巡っては溶け落ちた燃料デブリの取り出しや、トリチウム処理水の問題なども同時並行で対処しなければならない。
 廃炉作業の最前線では、過去に例がなく、かつ、大きく、複数の難題と向き合う日々が続いている。
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