[2021_12_03_09]知事「米軍との関係崩れる」 F16飛行再開 (東奥日報2021年12月3日)
 
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知事「米軍との関係崩れる」 F16飛行再開

 米軍三沢基地のF16戦闘機が燃料タンク2個を青森県深浦町内へ投棄した問題で、岸信夫防衛相は3日、同型機の飛行中止を要請した翌日に米軍側が飛行再開したことに対し、「極めて遺憾」と述べた。リッキー・ラップ在日米軍司令官に説明を求めたとした一方、飛行中止の再要請には言及しなかった。三村申吾知事は岸防衛相との会談で「築かれてきた米軍との関係が大きく崩れかねない」と述べ、再開に抗議の意思を示した。
 防衛省は1日、ラップ司令官に対し、安全が確認されるまでは飛行を中止するよう要請。しかし「何ら説明もないまま」(三村知事)翌2日に、三沢基地の上空でF16の飛行が確認された。
 飛行再開を受け、急きょ防衛省入りした三村知事は、東北町・小川原湖へのF16燃料タンク投棄(2018年)、六ケ所村内への模擬弾誤投下(19年)、湖上でのオスプレイ低空飛行(21年)を例に挙げ、「大惨事につながりかねない事故や地域の実情を無視した事案が立て続けに発生し、米軍への県民感情は悪化の一途」と指摘。「納得のいく説明を国の責任で出してほしい」と岸防衛相に要請書を手渡した。
 岸防衛相は「地域の理解を得るための説明を行わないままの飛行再開は誠に残念。地元から預かった思いを米側に伝えきれない結果を重く受け止め、米軍に申し入れる」と応じた。一方で飛行中止の再要請については、会見でも「まずは(米軍に)説明を求めたい」と述べるにとどめた。
 4日には日米共同訓練が八戸市などで始まる。三沢基地は米軍オスプレイの整備拠点となるが、三村知事は会談で「現状では理解を得ることが困難なのではないか」とくぎを刺した。
 また、タンク投棄の情報が地元自治体に入ったのは発生から3時間半後だったことに、三村知事は「情報提供が遅いとの印象は拭えない」と苦言を呈した。事件や事故に関する日本政府への通報は、1997年の日米合同委員会で「できる限り速やかに」実施することで合意している。
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