[2021_12_02_06]「我々は人でないのか」憤る住民 深浦・米軍F16タンク投棄(東奥日報2021年12月2日)
 
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「我々は人でないのか」憤る住民 深浦・米軍F16タンク投棄

 家に落ちていたら命を落としていた−。米軍三沢基地所属のF16戦闘機による燃料タンクの投棄から一夜明けた1日朝、青森県深浦町中心部の現場周辺には燃料が残り、異臭が漂い続けた。降って湧いたトラブルに、近隣住民の表情には動揺と困惑が広がり、怒りは収まらなかった。
 タンクは国道脇の柵に直撃し一部が壊れた。落下現場となった町役場近くの「猿神鼻岩(さるかみはないわ)洞門」は往来の利便性を図るため、明治時代に硬い岩をくりぬいた洞門。近くをJR五能線が通る。現場周辺には規制線が張られ、すぐそばの国道101号では、片側数十メートルにわたって油膜が確認された。
 現場から民家までわずか20メートルほど。近くに住む看護師島元由香利さん(54)は帰宅して30分後の午後6時ごろ「ドーン」という音を聞いた。「生きていて良かった。ここに落ちていたら死んでいた」と語った。
 自営業岡田彰男さん(50)は米軍が投棄場所を当初「非居住地域」と発表したことについて「町の人口は減っているが、周辺は民家が連なっている。ここは人が住んでいないことになっているのか。われわれは人でないのか」と語気を強めた。人的被害がないのは奇跡中の奇跡−とし「燃料タンクは『落下』したのではなく『投棄』との報道に、驚きと怒りでいっぱい。空から投棄されても仕方ない場所なのか」と、米軍への不信感を募らせた。
 現場には様子を見に来る住民の姿が相次いだ。同町のパート職員女性(59)は「一歩間違えば、私の家に落ちていたかも。タンクも油も早く片付けて、二度とこういうことが起こらないようにしてほしい」と、不安げな表情を見せ、50代の主婦も「国道は多くの人が通勤で使うし、スクールバスも通る。車に直撃したら大惨事になっていた」と話した。
 長さ1〜2メートルあるタンクの残骸は1日午前、半径7〜8メートルほどの範囲に散乱。米軍関係者15人ほどが午後4時ごろまでに、目視や写真撮影などを経て、専用車両に積み込んだ。燃料が付着した落ち葉や土壌は、専用のドラム缶に入れて撤去した。
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