[2021_11_17_04]進まぬ「核燃サイクル」 文献調査、残り1年(時事通信2021年11月17日)
 
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進まぬ「核燃サイクル」 文献調査、残り1年

 北海道寿都町と神恵内村で実施されている高レベル放射性廃棄物(核のごみ)処分地選定の第1段階「文献調査」が、残り1年程度で終了を迎える。
 政府は両町村の文献調査を契機に調査を他自治体に広げたい考えだが、他に受け入れの表明はない。政府の原子力政策の柱である「核燃料サイクル」はいまだ実現のめどが立たない。
 核燃料サイクルは、原発から出る使用済み核燃料を再処理してプルトニウムなどを取り出し、燃料として利用するもの。残った高レベルの放射性廃液はガラスと混ぜて固めた上で地下に埋設する計画だが、最終処分地が決まっておらず「トイレなきマンション」に例えられる。
 再処理後の行き場のない使用済み核燃料は各地で積み上がっている。10月現在、全国の原発敷地内などで保管中の同燃料は約1.9万トンで、貯蔵能力の約8割に達する。電力業界は「原発運用に直ちに問題が生じることはない」(関係者)と強調するが、処分地が決まらなければ、将来的には保管場所が不足し原発が運転できなくなる可能性がある。
 文献調査では、経済産業省が住民との「対話の場」に幹部を派遣。交付金も含め、調査受け入れが地域振興につながることをアピールしている。しかし、調査が将来的な核のごみ受け入れにつながるとの懸念は根強く、他の自治体に追随する動きは見えない。
 青森県には再処理工場などが設置され、核ごみも期限付きで保管されているが、これらは政府による「最終処分地にしない」との確約が前提。このため、このまま文献調査が進まなければ、政府との約束がほごにされることへの不信と不安が高まりかねない。処分地選定の動向は今後の原発政策を大きく左右することになる。 
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