[2021_11_10_01]東海第二 自治体計画 「避難所の面積拡大を」 市民団体、県と水戸市に申し入れ (東京新聞2021年11月10日)
 
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東海第二 自治体計画 「避難所の面積拡大を」 市民団体、県と水戸市に申し入れ

 日本原子力発電東海第二原発(東海村)の事故に備えた自治体の広域避難計画を巡り、茨城県内外の市民団体は、新型コロナウイルスなど感染症対策の観点から一人当たりの避難所面積を拡大するよう県と水戸市に申し入れた。水戸市からの避難者を受け入れる千葉県松戸市が一人当たり面積を従来想定の二倍にする方針を示したのを受けたもので、水戸市は面積を広げる必要性を明言。今後、各自治体は避難所を追加で確保するなどの対応を迫られることになりそうだ。(保坂千裕)
 八日に申し入れしたのは、「原子力防災を考える会@茨城」や「原子力規制を監視する市民の会」、国際環境NGO「FoE JAPAN」のほか、千葉県の二団体の代表者ら。避難先で感染症対策に配慮した十分なスペースを確保することや、現実的な避難が可能になるまで東海第二の再稼働に向けた手続きに入らないことなどを求めた。
 広域避難計画は

、東海第二の立地・周辺十四市町村の半径三十キロ圏内に住む約九十四万人が対象。避難先として、県内と近接五県の計百三十一市町村が決まっている。
 避難元、避難先の自治体はこれまで、一人当たり面積を二平方メートルとして受け入れ人数を算定してきたが、松戸市は九月一日の市議会で「各避難所の現状を確認し、四平方メートルで算出した」と説明。水戸市から受け入れ予定としていた一万五千八百八十九人を、約半数の七千百六十二人に修正したことを明らかにした。
 八日の申し入れ後に取材に応じた市民団体によると、水戸市防災危機管理課の担当者は「水戸市としては二平米(平方メートル)はない」と断言。県原子力安全対策課は「新型コロナが収束しても、(面積拡大は)プライバシー保護の観点から重要だ」との認識を示したという。
 県の回答について、FoE Japanの満田夏花(かんな)事務局長は「『四平米』と明言するのを避けている」と苦言。「目安を示さないと避難先の自治体も困るだろう」と指摘した。
 九月の水戸市議会では、市執行部は「(避難先の調整は)原電の再稼働に向けた工事スケジュールとは全く無関係に進める」と答弁。十月の県議会でも、大井川和彦知事が「一人当たりの面積を広げることも含め、県内市町村や他県との協議を開始した」と述べている。
 こうした動きは全国の原発立地地域で出始めており、原子力規制を監視する市民の会の阪上武代表も「全体の流れとしてはある」と話す。
 東海第二の広域避難計画は、県と十四市町村に策定義務があるが、策定済みの市町村は笠間、常陸太田、常陸大宮、鉾田各市と大子町のみ。五市町の計画でも移動手段や避難経路の確保などの課題は積み残され、見直しは急務だ。
 避難先の受け入れ人数を巡っては、トイレや倉庫などの非居住スペースを避難所面積に含めることで過大に算定していた問題も発覚している。
 水戸地裁は三月、避難計画の不備などを理由に東海第二の運転を差し止める判決を出した。

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