[2021_11_03_01]ルーマニアが米製小型原子炉導入 中国メーカーとの協定破棄(産経新聞2021年11月3日)
 
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ルーマニアが米製小型原子炉導入 中国メーカーとの協定破棄

 【グラスゴー(英北部)=塩原永久】バイデン米政権は2日、ルーマニア政府と協力し、同国に次世代原子炉である「小型モジュール炉(SMR)」を導入する計画を進めると発表した。海外で米国製の導入実績を作り、SMR開発の国際競争で先行する狙いだ。米政権は2050年の脱炭素化に向けた長期戦略で、原発を有力な温室効果ガスの無排出電源と位置づけ、導入を増やすシナリオも示した。
 米政権が英グラスゴーの国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に合わせ、温暖化対策の一環として明らかにした。
 ルーマニアが導入予定のSMRは米ニュースケール・パワー製の12基。米国とルーマニアで当初6千人規模の雇用創出が見込まれるとしている。米政府が発表した文書は「SMRの導入が電力部門の脱炭素化に重要な貢献をする」とした。
 欧州で中国資本への警戒が強まる中、ルーマニアは昨年、原子炉導入で中国メーカーとの協定を破棄していた。中国は途上国への原発輸出に力を入れていた。
 米国は50年に温室効果ガス排出の実質ゼロを実現するため、同年までの包括的な施策をまとめた長期戦略を1日公表した。その過程で電力部門を35年までに脱炭素化する目標だ。
 長期戦略は、原子力発電をめぐり「既存原発の稼働を維持し、30年代から40年代に(電源構成比を)増やす可能性がある」と明記した。50年に向けて導入比率がもっとも増えるのは、太陽光や風力による再生可能エネルギーとした。二酸化炭素(CO2)を取り出して地下に埋める「CCS」も積極的に活用する。
 原子力に関しては、SMRの開発に積極的に投資する方針を打ち出している。
 SMRをめぐっては、フランスのマクロン大統領が先月中旬、原子力産業への投資を増強し、SMR開発を目指すと表明した。
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