[2021_10_25_02]大事故の現場から見えたものは…松江市長が初めて福島第一原発を視察 (島根・福島)(さんいん中央テレビ2021年10月25日)
 
参照元
大事故の現場から見えたものは…松江市長が初めて福島第一原発を視察 (島根・福島)

 島根原発2号機の再稼働に向けた動きが進む中、立地自治体である松江市の上定市長が先週初めて福島第一原発を視察しました。日本の原発に大きな転換をもたらした大事故の現場から何が見えたのか同行取材しました。
松江市 上定市長:
 「廃炉の現状、それを踏まえ教訓として学び取ったところを把握したいと思う」
 今回の視察は島根原発2号機が再稼働に向けてクリアした国の新しい規制基準のいわば元になっている福島第一原発の事故現場を見て、松江市が今後下さなければならない可否判断の一助にしようというものです。上定市長にとって初めての視察は先週の木曜日に行われ、丸一日かけて原発構内を見てまわりました。
 構内での線量計の数値は1時間あたり0.3マイクロシーベルトと自然界にあるレベルで、比較的高いとされる原子炉建屋近くでも100マイクロシーベルトと、東京とニューヨーク間を航空機で移動した際に受ける量にまでさがっています。
 安部記者:
 「私の奥100メートル程先にあるのが水素爆発を起こした1号機です。除染が進み3年前から防護服なしでも近づけるようになりました。ただその姿は10年前と大きく変わっていません。骨組みの中に当時の瓦礫も残っています」
 また1号機に続き、水素爆発した3号機にはドーム状のカバーがつけられています。
構内にある1号機から4号機まで4つの原子炉全ての廃炉が完了するには30年から40年がかかるとされています。
 一方、喫緊の課題となっているのが施設内で発生した汚染水の処理です。
 説明:
 「ご覧の通り無色透明です。茶褐色のものが浄化されていて無色透明になっている」施設内には処理が終わった汚染水、処理水を一時的に保管する約1000個のタンクが設置され、貯蔵量は約126万トン。既に上限の約9割に達しているといいます。
海洋放流の計画が出ていますが、地元漁業者を中心に反対も大きく解決のメドはまだたっていません。上定市長は、国の新しい規制基準が事故を教訓にした厳格な基準であることを確認できたとした一方で、最終的な可否判断については。
 松江市 上定市長:
 「時期を定めて決めていくものではないので、実態の部分といいますか電力事業を営む事業者の信頼、市民の方がどう捉えるかが重要。市民の心配、意見を聞くことで議論を進めていきたい」
 上定市長は住民などの意見を聞いた上で議論を進める事を改めて強調しました。松江市は島根県とともに島根原発の立地自治体として2号機再稼働に対し事前に了解するか、しないか判断できる権限を持っているだけに、その責任の大きさもまた問われています。
KEY_WORD:SHIMANE_:FUKU1_:汚染水_:廃炉_: