[2021_10_17_01]「核ごみ」調査、争点に 推進派と反対派一騎打ちへ 北海道寿都町長選、21日告示(時事通信2021年10月17日)
 
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「核ごみ」調査、争点に 推進派と反対派一騎打ちへ 北海道寿都町長選、21日告示

 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定をめぐる文献調査が進む北海道寿都町で21日、任期満了に伴う町長選(26日投開票)が告示される。調査を推進する現職と、反対する新人の2人が立候補を表明。調査の是非を争点に選挙戦が展開される見通しだ。選挙の結果次第では調査の今後の進め方に影響が出る可能性がある。
 立候補を表明しているのは、6選を目指す現職の片岡春雄氏(72)と、新人で元町議の越前谷由樹氏(70)。過去4回の町長選は無投票で、選挙戦となれば20年ぶり。
 寿都町は日本海に面した人口約2800人の漁業のまち。町は活性化に向け、町営風力発電所による収入や、ふるさと納税の寄付金などで自主財源の確保に努めてきたが、人口減少は止まらず、過疎化が深刻化している。
 町の将来を不安視する片岡氏は、第1段階の文献調査で国から最大20億円の交付金が支払われる処分地選定手続きに着目。昨年10月に応募に踏み切り、同11月、政府の要請に応じた北海道神恵内村とともに調査が始まった。
 片岡氏は、調査の受け入れについて「10〜20年先に希望の持てる町につなげる」と意義を強調。交付金を雇用創出などに充て、人口減少に歯止めをかけると主張する。全国に原発の課題に関する議論を喚起するため、「町を核のごみ問題を勉強するモデルにしたい」とも説明する。
 これに対し越前谷氏は「町民の間に分断が起きている」として、調査の撤回を訴える。当選した場合は交付金の受け取りを辞退し、身の丈に合った財政運営への転換を目指すという。
 資料で地質などを調べる文献調査は2年間の予定。3段階の調査全体では約20年を要し、次の段階に進むには知事や市町村長の了解が必要だ。町民からは「調査だけで終わるはずがない。核のごみが来ることになる」(70代男性)と不安の声が上がる一方、「住民サービスの継続にはお金が必要だ」(60代女性)と、調査受け入れはやむを得ないとの意見も出ている。
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