[2021_09_28_01]産業技術総合研究所HPより 「千葉県の太平洋岸で歴史記録にない津波の痕跡を発見」の抜粋 約1000年前に発生した房総半島沖の巨大地震によって 九十九里浜地域が浸水 産総研の調査で確認された1000年前の巨大津波 (下) 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ舎2021年9月28日)
 
参照元
産業技術総合研究所HPより 「千葉県の太平洋岸で歴史記録にない津波の痕跡を発見」の抜粋 約1000年前に発生した房総半島沖の巨大地震によって 九十九里浜地域が浸水 産総研の調査で確認された1000年前の巨大津波 (下) 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

 なお、論文の日本語解説は産総研のホームページに
「千葉県の太平洋岸で歴史記録にない津波の痕跡を発見」
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20210903/pr20210903.html
 として掲載されている。
 以下は、その抜粋。是非、原本を読んでいただきたい。

◎概要

 国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」)活断層・火山研究部門、海溝型地震履歴研究グループ、澤井祐紀上級主任研究員、行谷佑一主任研究員らと、カナダ・サイモンフレイザー大学Jessica Pilarczyk助教は、産総研地質情報研究部門、アメリカ・サザン・ミシシッピ大学、筑波大学、東京大学、アメリカ・バージニア工科大学、シンガポール・南洋理工大学、アイルランド・メイノース大学、イギリス・地質調査所との共同研究で、千葉県九十九里浜沿岸において歴史上知られていない津波の痕跡を発見し、それが房総半島沖で発生した巨大地震によるものであるとの結論を得た。
 産総研はこれまでに、過去に発生した津波の痕跡を調べるための地質調査を日本各地で行ってきた。
 特に2011年に発生した東北地方太平洋沖地震以降、その破壊領域の南方の海域に面する千葉県九十九里浜地域においては、掘削調査により過去の津波の痕跡である津波堆積物を2層発見した。
 また、放射性炭素年代測定により、2層のうち古いほうの津波堆積物は約1000年前に堆積しており、歴史上知られていない津波の痕跡であることが分かった。
 房総半島沖には、太平洋プレート、大陸プレート、フィリピン海プレートが1カ所で接する「プレートの三重点」が存在する。
 約1000年前の津波堆積物の分布を再現するために津波浸水シミュレーションを行ったところ、これらのプレート境界のうち、フィリピン海プレートに対して太平洋プレートが沈み込む領域が破壊された場合、比較的小さなすべり量でも九十九里浜地域を大きく浸水させる津波が発生することがわかった。
 この結果は、従来考えられてきた相模トラフや日本海溝に加えて、房総半島東方沖の海底下に位置するフィリピン海プレートに対して太平洋プレートが沈み込む領域が巨大地震・津波を起こす場所として注意すべきことを示している。
 なお、研究の詳細は、2021年9月2日(イギリス夏時間)にNature Geoscience誌に掲載される。

◎研究の経緯

 本研究の対象地域である九十九里浜地域は、太平洋プレート、大陸プレート、フィリピン海プレートが1カ所で接するプレートの三重点に隣接する地域であり、各々のプレート境界で形成されている日本海溝、相模トラフ、伊豆・小笠原海溝の周辺で発生する地震・津波の脅威にさらされている場所である。
 これらの海域の沿岸における代表的な津波被害として、1677年の延宝地震(延宝五年)と1703年の元禄地震(元禄十六年)によるものが古文書等に記録されているが、これより古い時代の地震・津波の発生履歴は明らかにされていなかった。

論文情報
掲載誌:Nature Geoscience (2021)
論文タイトル:A further source of Tokyo earthquakes and Pacific Ocean tsunamis.
著者:
Jessica E. Pilarczyk, Yuki Sawai, Yuichi Namegaya, Toru Tamura, Koichiro Tanigawa, Dan Matsumoto, Tetsuya Shinozaki, Osamu Fujiwara, Masanobu Shishikura, Yumi Shimada, Tina Dura, Benjamin P. Horton, Andrew C.Parnell, Christopher H. Vane
KEY_WORD:千年前房総沖でM8級地震_:ENBOU_BOUSOUOKI_:GENROKU_:HIGASHINIHON_:TSUNAMI_: