[2021_07_23_04]韓国政府、「原発予定地の白紙化」で地方自治体と法的攻防拡大(WOW!KOREA2021年7月23日)
 
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韓国政府、「原発予定地の白紙化」で地方自治体と法的攻防拡大

 韓国キョンサンプクト・ヨンドクグン(慶尚北道・盈徳郡)のイ・ヒジン郡守(郡の長)は今月21日、記者会見を開き「政府によるチョンジ(天地)原発建設事業の取り消しで、盈徳郡と郡民が被った個人的・社会的被害補償のためには、特別支援事業加算金の380億ウォン(約36億円)に対する回収処分取り消し訴訟が避けられない」と述べた。
 これまでも原発建設中止をめぐり、関連地域内での対立がピークに達していた。被害補償を要求するなど、その影響はさらに激しくなる見通しだ。
 イ郡守は「支援金の回収措置が問題になったのは、政府の一方的な政策変更にその理由がある。責任も当然国家が負わなければならない」と主張した。
 盈徳郡は法律を検討した後、近いうちに支援金回収取り消し訴訟を起こすことにした。
 盈徳郡は20日、産業部から「天地原発1・2号機の建設事業が撤回されたため、特別支援金未執行残額380億ウォンに利子を合わせ、計402億ウォン(約38億円)をソウル永登浦区電力基金事業団に返却せよ」という公文を受けた。産業部は「国税徴収法に基づき、30日以内に返納しなければ5%の遅延利子を加算する」と告知した。
 盈徳郡は2014年に天地原発の建設を申請する条件で、当時産業部から原発申請特別支援金380億ウォンを受け取った。この支援金の中から、鉄道用地の購入や体育センター建設など、地域発展事業費として293億ウォン(約28億円)が使われた。地方債などを発行して特別支援金を繰り上げて使ったものだ。しかし、政府支援金は事業が中断されれば返還しなければならない。
 産業部は、盈徳郡が天地原発の建設と特別支援金の使用をめぐり、数回態度を変えてきたと明らかにした。 産業部は「2014年6月に盈徳郡に特別支援金380億ウォンを交付したが、盈徳郡議会と盈徳郡首が原発事業中断を求めた」とし、「しかし、2017年に入ってエネルギーの転換ロードマップが国務会議を通過すると、盈徳郡が特別支援金を使用すると申請した。その後、産業部では支援金使用の目的が消えたために執行を保留した」と説明した。
 天地原発予定区域敷地の土地補償も問題だ。敷地の18.5%がすでに補償を受けている。残りの81.5%は補償を待っている状況で、補償を受けることができなかった地主らは強く反発している。
 産業部は、「盈徳郡が提案した事業のうち5つが公募手続きなどを通過し、支援を確定した」とし、「予定区域の住民には生活の不便を改善するために、1世帯当たり約1600万ウォン(約153万円)を支援することにした」と伝えた。
 しかし天地原発非常対策委員会は「直接の利害当事者である地主の意見を収集しなかった行政は、地主と住民を仲違いさせようとしている」とし、実力行使に乗り出すと発表した。
 これについて産業部は、「政府のエネルギー転換政策により、事業者である韓国水力原子力が事業終結を決定した。そのため予定区域維持の必要性がなくなり、開発行為の制限などによる地域と住民の苦情を最小化するために行った」と説明した。また、関係省庁との協議、盈徳郡の意見聴取、行政予告などを通じて意見を聴取したという。
 産業部は「今月16日、発電所周辺地域で支援事業審議委員会を開催する前に、エネルギー資源室長が参加した中で盈徳郡守・郡議会議長と事前面談を行った。審議委員会の開催中に盈徳郡守・郡議会議長に意見を出すよう機会まで与えた」と説明した。
 慶尚北道では今月16日、政府の脱原発政策で慶州ウォルソン(月城)原発1号機の早期閉鎖、ウルジン(蔚珍)新ソウル原発3・4号機の建設中断、天地原発建設の白紙化など、地域被害の分析と対応策作りのための研究に着手した。11月ごろ結果が出れば政府を相手取って損害賠償訴訟を起こすことにした。中央政府と地方自治体間の法的攻防がさらに激しくなる見通しだ。
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