[2021_07_12_02]南相馬の避難解除 東京地裁、取り消し認めず「強制ではない」(毎日新聞2021年7月12日)
 
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南相馬の避難解除 東京地裁、取り消し認めず「強制ではない」

 東京電力福島第1原発事故で「特定避難勧奨地点」に指定された福島県南相馬市の住民ら366人が、放射線量が高い状況で指定を解除されたのは違法だとして国に解除の取り消しを求めた訴訟の判決で、東京地裁は12日、訴えを却下した。鎌野真敬裁判長は「指定の解除は帰還を強制するものではなく、行政処分に当たらない」と判断した。
 判決によると、南相馬市の一部は2011年7月以降、年間被ばく線量が20ミリシーベルトを超える可能性がある特定避難勧奨地点に指定され、14年12月に解除された。鎌野裁判長は「指定は避難の検討を促すもので、強制ではない。解除は年間被ばく線量が20ミリシーベルトを下回ることが確実だという情報提供で、帰還を強制するものではない」と指摘した。解除によって精神的苦痛を受けたとする国家賠償請求も「権利侵害が認められない」として棄却した。
 判決後に記者会見した原告団長の菅野秀一さん(80)は「原告側の訴えは一切無視された。いいかげんな判決だ」と憤った。内閣府原子力被災者生活支援チームは「国の主張が認められた。福島の復興に引き続き真摯(しんし)に取り組む」とコメントした。【遠山和宏】
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