[2021_06_07_01]福島第1原発、高線量汚泥の容器31本が寿命超え 8月から交換へ(毎日新聞2021年6月7日)
 
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福島第1原発、高線量汚泥の容器31本が寿命超え 8月から交換へ

 原子力規制委員会は7日、東京電力福島第1原発の廃炉作業に関する有識者会合を開き、高線量の汚泥をためる樹脂製の円筒状の容器(直径約1・5メートル、高さ約1・9メートル)31本が既に寿命を超えていると指摘した。東電が、容器が浴びる放射線量を過小評価していたため。東電は規制委の指摘を認め、8月から順次、新たな容器に移し替える意向を示した。汚泥の漏れは、確認されていないという。
 福島第1原発では、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」に備えられたフィルターに汚染水を通すなどして、放射性物質の濃度を下げている。高線量の汚泥は、その過程で放射性物質を薬剤で沈殿させると生じる。このため、東電は円筒状の容器に保管しており、その数は4月時点で約3000本に上っている。
 容器は、汚泥からの放射線量が累積で5000キログレイに達すると劣化して寿命を迎える。東電は、2018年3月に容器の底から高さ20センチの所にある汚泥の密度を測定し、それを基に寿命の時期は25年7月以降と評価していた。
 しかし規制委は、容器の底の方が密度が高く、その分放射線量が大きくなるので、底の汚泥を基にすべきだと主張。東電のやり方では過小評価につながると指摘した。規制委が寿命の評価をし直すと、既に31本は寿命を超えており、さらに56本が今後2年で寿命を迎える。
 東電の担当者は「(容器の)底の密度を実測するのが難しく、明確なデータがなかった」と説明している。【岡田英】
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