[2021_06_02_05]中国電力が三度目の一般海域占用許可申請を提出 山口県は交渉に県外者の参加を拒否 川辺川ダムは定款変更を三度目の漁協総会で可決 川辺川ダムへの同意を漁協が求められれば、漁業権に基づく闘いが再び始まる 連載「権利に基づく闘い」その17 熊本一規(明治学院大学名誉教授)(たんぽぽ舎2021年6月2日)
 
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中国電力が三度目の一般海域占用許可申請を提出 山口県は交渉に県外者の参加を拒否 川辺川ダムは定款変更を三度目の漁協総会で可決 川辺川ダムへの同意を漁協が求められれば、漁業権に基づく闘いが再び始まる 連載「権利に基づく闘い」その17 熊本一規(明治学院大学名誉教授)

◎ 上関原発の動き

 5月20日、中電が上関原発に関するボーリング調査のための三度目の一般海域占用許可の申請を出しました。
 2019年にも2020年にも許可は出たものの一切調査はできないで終わったのに、よく三度目の許可申請を出したものです。
 現在、第6次エネルギー基本計画が作られていますので、原発の新規着工をめざしているとのポーズをとりたいのでしょう。
 小中進さん(原発いらん!山口ネットワーク会長)たちが山口県に交渉を申し入れ、6月8日に設定されましたが、私の参加を伝えると、県は、新型コロナ対策を理由に県外者の参加を拒んできました。
 予定参加者10人のうち県外からは私だけです。一名の県外参加者を拒むことが新型コロナ対策として必要とはきわめて不合理・不可解ですが、私が参加すると交渉自体を拒む恐れがありますので、やむを得ません。
 県が占用許可を出しても、過去二回と同様、中電が調査への協力を祝島漁民に頼んでも、ことごとく拒まれて何もできずに帰ることになるだけです。

◎ 川辺川ダムの動き

川辺川ダムは、定款変更を総代会を経ずに直接総会にかけることに ついて私から熊本県に提出した公開質問状に対し、県から提出仲介者の組合員・小鶴隆一郎氏に電話連絡があり、小鶴氏が私への文書回答を要求しましたが、文書回答がないまま、強引に球磨川漁協総会が開かれました。
3月10日総会、3月31日総会の二回にわたり定款変更議案は否決されましたが、漁協は一事不再議を無視して5月26日に三度目の総会を開き、総代制の廃止を内容とする定款変更が可決されました。
 総代制は、広域的な組合において民主的な運営を保証している制度であり、球磨川漁協での総代制廃止は将来に禍根を残すと思われますが、川辺川ダムの利権のために、近視眼的な判断がなされているということでしょう。
 川辺川ダム建設をめぐっては1999年〜2004年に漁業権に基づく闘いが激しく展開され、建設を断念させましたが、環境への影響を軽減すると称して穴あきダムに計画変更された新川辺川ダムへの同意を国交省が球磨川漁協に求めてくると思われます。
 そうなれば、漁業権に基づく闘いが再び始まることになります。

注1. 上関原発も川辺川ダムも動きがない時期が続いたので、都市計画道路をテーマとした連載を始めようかと思いましたが、最近いずれにも動きが出ましたので、都市計画道路についての連載は延期します。

注2. 上関原発について詳しくは、小中進氏のホームページhttp://midori-konaka.jp/や私のホームページhttp://www.kumamoto84.netを参照。
注3.川辺川ダムをめぐる1999年〜2004年の漁業権に基づく闘いについては、三室・木本・小鶴・熊本共著『よみがえれ!清流球磨川』を参照。

※≪事故情報編集部≫より 〔連載「権利に基づく闘い」その16〕は、2月13日【TMM:No4127】に掲載。
KEY_WORD:上関原発計画_: