[2021_03_25_02]燃料デブリ取り出し「1年程度遅延」 東電が廃炉計画改訂版発表(毎日新聞2021年3月25日)
 
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燃料デブリ取り出し「1年程度遅延」 東電が廃炉計画改訂版発表

 東京電力は25日、政府・東電の福島第1原発の廃炉工程表に基づいて今後10年間の作業計画を具体化した「廃炉中長期実行プラン」の改訂版を発表した。溶け落ちた核燃料など「燃料デブリ」の2号機からの取り出しは廃炉作業の最大の課題だが、2021年内の開始を「1年程度遅延」とし、具体的な開始時期を明記できなかった。
 改訂版では1、3号機からの燃料デブリの取り出しについて、2号機で得られた情報や経験を踏まえ「3号機を先行して検討を進め、1号機に展開を想定」と記載。ただ、取り出しの開始時期は1、3号機とも未定のままとなった。政府・東電は廃炉作業の期間を11年から「30〜40年」としており、今回の改訂版は折り返し地点を含んだ計画になるが、見通しは明確にならなかった。
 2号機の燃料デブリの取り出し開始時期を明示できなかった理由について、改訂版を監督している経済産業省の担当者は「新型コロナウイルス感染症の影響が見通せない」と説明。廃炉後の姿に関して、地元からは「完全な更地」を求める声が上がっているが、改訂版からはその輪郭もうかがえなかった。福島第1廃炉推進カンパニーの小野明・最高責任者は「(廃炉後の姿を)議論しようにもできない」と話している。
 廃炉作業を巡っては、日本原子力学会が昨夏、放射性物質に汚染された土壌や地下水の浄化などに時間がかかることから、敷地を再利用できるようになるまで最低100年かかるとの推計を発表している。同学会の福島第1原子力発電所廃炉検討委員会の宮野広委員長は「廃炉後の姿は、復興の将来像をどう考えるのかと関係する。議論を早く始めるべきだ」と指摘する。【荒木涼子、塚本恒】
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