[2021_03_07_01]デブリと処理水、先見えず 新たな懸念材料も―福島第1原発・東日本大震災10年(時事通信2021年3月7日)
 
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デブリと処理水、先見えず 新たな懸念材料も―福島第1原発・東日本大震災10年

 廃炉作業で最難関とされる溶け落ちた核燃料(デブリ)の取り出しには、今後20〜30年を要する見込みだ。放射能汚染水を浄化した処理水の処分も時間がかかり、作業は長丁場となる。
 デブリは原子炉内にあった核燃料が自ら発する熱で溶け、炉内の構造物と混ざり合った状態だ。1〜3号機で推計880トンに上るが、詳しい状況は分かっていない。
 調査が進む2号機では、来年にも試験的なデブリ取り出しに着手する。原子炉格納容器の側面にある穴から伸縮するアームを差し入れ、底にあるデブリを回収する予定だ。当初の取り出し量は数グラム程度にとどまるが、試行錯誤を重ねながら徐々に量を増やす計画という。
 一方、原子力規制委員会の調査で、2、3号機の格納容器のふた部分(シールドプラグ)に、高濃度の放射性セシウムが付着している可能性が浮上した。更田豊志委員長は「ほとんど燃料デブリと言っていいようなもの」と廃炉作業への影響を懸念した。
 東京電力福島第1廃炉推進カンパニーの小野明代表は、当面の作業には影響しないと分析。作業が進めば、格納容器上部からデブリを取り出す可能性もあり、「まずは情報を集め、対応をしっかり考えたい」と話した。
 処理水の処分をめぐっては、海洋放出を軸に政府内で検討が続けられている。ただ、地元の漁業者らの反発は根強く、結論は出ていない。
 処理水には除去が困難なトリチウムのほか、取り切れなかった別の放射性物質が含まれているため、再度の浄化作業が不可欠。東電は検討案で「一度に大量に放出せず、廃止措置(廃炉)に要する期間を有効に活用する」と明記しており、デブリの取り出しと並行し、長い時間をかけて少しずつ放出することになりそうだ。
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