[2021_02_13_05]「本質的な安全文化に関わる」と苦言 東電不正入室問題で県技術委座長(新潟日報2021年2月13日)
 
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「本質的な安全文化に関わる」と苦言 東電不正入室問題で県技術委座長

 東京電力柏崎刈羽原発の安全性を議論する新潟県技術委員会が12日、新潟市中央区で開かれ、同原発所員が原発中央制御室に不正入室した問題について、中島健座長(京都大教授、日本原子力学会長)は「本質的な安全文化に関わる問題」と東電に苦言を呈した。東電の「適格性」を巡る原子力規制委員会の判断が妥当なのかを、県技術委で議論する考えを示した。
 会合では、東電の担当者が不正入室問題を報告し、陳謝した。委員からは「セキュリティーの意識があまりに不足しており、驚くべき事案だ」などと厳しい意見が相次いだ。
 中島氏は「本質的な安全文化に関わり、ここをしっかりやらないと県民、国民の信頼は得られない」と強調した。
 東電と、東電から報告を受けた規制委事務局の原子力規制庁は、核物質防護を理由に報道で発覚するまで問題を公表しなかった。
 会合で、県技術委員の一人は「セキュリティーに関係ない概要だけでも、すぐに公表できなかったのか」と東電の対応を疑問視した。別の委員は、規制庁について「セキュリティーを盾に情報公開しないことが多々ある」と指摘。今後、今回の対応の理由や、情報公開の在り方について規制庁に説明を求めることを提案し、異論は出なかった。
 会合後、中島氏は東電の適格性を巡る県技術委の議論の進め方について「この問題が、規制委の判断に影響を与えるのかどうかをまずは注視したい」と述べ、当面、規制委の対応を見極める考えを示した。その後に規制委から説明を求め、「判断が妥当かを考えることになるのではないか」とした。

◎議論の継続性に懸念

 県技術委員会の中島健座長は12日の会合後、県技術委の委員の半数を高齢などを理由に再任しない県の方針について、発言が活発な委員が複数抜ければ「しっかり議論ができるかな、という危惧はある」と述べた。ただ「最終的には、あくまで県の判断だ」とした。
 県は4月以降、高齢の委員を交代させるほか、東京電力福島第1原発事故の原因検証のために増員した委員を退任させることで、委員数を現在の14人から検証作業前の10人前後とする方針。
 これに対し、高齢を理由に再任されない見通しの立石雅昭委員(新潟大名誉教授)は強く反発している。立石氏は、12日の会合で改めて「再任」「拡充」を主張した。
 中島氏は会合後、委員数の拡充について「どれぐらいの規模が適切かは、よく考えなければならない」と慎重な見方を示した。一方、立石氏も念頭に、不再任となる見通しの複数の委員には「今までの委員会で、活発に意見を言ってもらっている」として、交代により議論の継続性が確保できるか懸念した。
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