[2020_12_19_06]電事連が中間貯蔵構想を説明 共用検討「積極的に参画」 関電社長 利用の意向言及せず 共用「一つの選択肢」 東北電 「燃料は必ず搬出」 経産省幹部ら一時貯蔵強調 「関電の説明待つ」 福井・杉本知事 来週にも面談へ 全社の使用済み燃料 むつへの集約を否定 経産相 三村知事一問一答 共用案「聞き置く」とは・・・ 「私どもが話すことない」(東奥日報2020年12月19日)
 
 使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の共用化案を巡り、関西電力の森本孝社長は18日、東京都内での記者会見で「共同利用の検討に高い関心があることから積極的に参画したい」と表明した。ただ、関電として実際に施設を利用する意向があるかどうかは言及を避けた。
  (佐々木大輔)

 運転40年超の原発が立地する福井県は、再稼働の前提条件として関電に対し、使用済み核燃料を同県外で中間貯蔵する候補地を年内に示すよう要請した経緯がある。電気事業連合会が発案した共用化構想は関電を支援する意味合いを持つ。
 使用済み核燃料の貯蔵対策で関電は2千d規模の中間貯蔵を想定。森本社長は候補地探しを「供給区域の内外を問わずあらゆる可能性を検討中」と説明した。共用化案には「非常に関心を持っている」と述べる一方、あくまで「電事連をベースに議論が固まって出た話」と強調 「電事連の一員として果たせる役割を考えたい」と、主体性を避けるような発言が目立った。
 共同利用が実現した場合に施設を利用する意向を再三問われたが、「今後のプロセスを申し上げるのは控えたい」と最後まで明言しなかった。その一方で、福井県に対しては「積極的に(検討に)参画する旨は必ず伝える」と強調した。
 本県やむつ市に対しては「丁寧に説明して理解をもらうプロセスが非常に重要」とし、会見中は「地元のご理解」という言葉を何度も重ねた。ただ、共用化によって地元が過度な負担を強いられるとの懸念には「業界全体が国とも協力して貯蔵の柔軟性、補完性、多様性に取り組むのが大切」と述べるにとどめた。

 「関電の説明待つ」 福井・杉本知事 来週にも面談へ

 電気事業連合会が公表した青森県むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設を、関西電力を含む電力各社で共同利用する案に、福井県の杉本達治知事は18日「関電からの説明を待ちたい」と述ベた。関係者によると、21日にも同社の森本孝社長と面談する方針。
 18日の福井県議会では、むつ市の反発を念頭に「具体的な地点の提示だけでなく、どういう形で確定させるのかを(関電に)確認したい」と述べた。

 共用「一つの選択肢」 東北電

 東通村で東通原発1号機(運転停止中)を運営する東北電力は18日、むつ市の中間貯蔵施設の共同利用案に対し「一つの選択肢」との認識を示した。
 同社の広報担当者は、これまで、敷地内外の乾式貯蔵施設など使用済み核燃料の各種の貯蔵方法を検討してきたと説明。「対策の実施には地域の理解が何よりも重要と考えている」と述べた。電気事業連合会の検討に関しては「使用済み燃料対策の選択肢が広がるとの意味から、電力各社にとって意義がある」とした。
 東通原発は2005年12月に営業運転を開始した。岩渕伸一執行役員青森支店長は今月の会見で「貯蔵プールは10年分以上の容量がある」と話し、女川原発(宮城県)も含め当面はプールを活用する考えを示していた。   (加藤景子)
 「燃料は必ず搬出」 経産省幹部ら 一時貯蔵強調

 電気事業連合会の清水成信副会長は18日、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設の共同利用案を巡り、燃料保管後の搬出先は「少なくともその時点で、国内で稼働している再処理施設」と、再処理を前提とした一時貯蔵であることを改めて強調した。県、市との面会に同行した経済産業省の小澤典明首席エネルギー・地域政策統括調整官は「再処理は国の大きな方針。燃料は施設から必ず搬出する」と断言した。
 一方、県庁で報道各社の取材に応じた電事連の藤田博文原子力部部長は、燃料を運び出す時点で日本原燃六ケ所再処理工場(六ヶ所村)が稼働していれば搬出先となり得るかーとの問いに対し「稼働していれば含まれる。ただ、それは今決めるものではなく、その時に検討する事項」と回答し、六ヶ所工場が搬出先となる可能性に含みを持たせた。
 電事連によると、共同利用案は、梶山弘志経産相から7月に、使用済み核燃料対策に向けた業界全体の連携・協力などを要請された後に検討が加速した。現時点でむつの施設の活用を希望している電力会社について、藤田部長は「把握していない」と述ベた。
 中間貯蔵施設は、東京電力と日本原子力発電が出資して建設したが、共同利用案に対し2社は「地元の理解を大前提に進めてほしい」と電事連に求めたという。
    (本紙取材班)

 全社の使用済み燃料 むつへの集約を否定 経産相

 梶山弘志経済産業相は18日の閣議後記者会見で、使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)の共用化案について「特定の地域に全ての電力会社の使用済み核燃料が集まるということではない」との見解を示した。
 共同利用が実現すれば、施設の運営会社に出資する2社以外の電力各社が保管する分も受け入れが可能となる。梶山氏は「何社かは分からないが、全てが集まるということではない。核燃料サイクルが動きだせば(むつ市内に燃料は)とどまらない」と説明した。
    (佐々木大輔)

 三村知事一問一答 共用案「聞き置く」とは・・・ 「私どもが話すことない」

 三村申吾知事は18日、電気事業連合会との面会後に報道各社の取材に応じ、電事連から示されたむつ市の中間貯蔵施設の共同利用案を「聞き置く」と表現したことについて「具体的な内容がない中で、聞いておくが(電事連が)これからどうするのかも含めて私どもがお話しすることは何もないということ」と説明した。一問一答は次の通り。

 −共同利用案は「関西電力支援」との見方がある。
 「県として何ら感知するところではない。個別の会社にわれわれが斟酌するものは何もない」

 −報告は先に地元に来るべきではないか。
 「順番をどうこう問うつもりはない」

 ー中間貯蔵事業に対する認識は。
 「必ず使用済み核燃料を再処理するとの過程に置かれたシステムの一つであると認識している。六ヶ所村の核燃料サイクル事業との整合性が非常に問われる事業。それなくして何が中間貯蔵かという話。整合性をとって全体としてのシステムが動くことが大事だ」

 ー燃料がとどめ置かれる状況は看過できないということか。
 「当たり前だ。本県を最終処分場にしない、ごみためにしないと私はずっと言い続けてきた。そういった方向性が少しでもあれば徹底的にやる」   (まとめ・加藤景子)
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