[2020_12_10_05]MOX工場、新規制基準に正式合格 原燃主要施設全て審査通過(河北新報2020年12月10日)
 
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MOX工場、新規制基準に正式合格 原燃主要施設全て審査通過

 原子力規制委員会は9日の定例会合で、日本原燃のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料工場(青森県六ケ所村)が新規制基準に適合していると認める「審査書」を委員5人の全会一致で決定した。原燃の核燃料サイクル施設は7月に正式合格した再処理工場をはじめ、主要施設全てが新基準をクリアしたことになる。
 原燃はMOX燃料工場の2022年度上期の完工を目指しているが、建屋の建設や安全対策工事の審査などに時間を要するため、時期は延期される可能性が高いとみられる。
 工場は原発で出た使用済み核燃料を再処理してプルトニウムとウランを取り出し、再利用する核燃料サイクル政策の関連施設。隣接する再処理工場で作ったMOX粉末を、原発でのプルサーマル発電に使う燃料に加工する。
 MOX燃料の製造能力は最大で年間130トン。原発十数基分の消費量に相当するが、新基準の下で再稼働した原発のうちMOX燃料を使えるのは4基のみ。審査中の原発を合わせても10基にとどまり、燃料消費の動向は見通せない。
 プルサーマル発電によって発生する使用済みMOX燃料の行き先も不透明だ。国は「第2再処理工場」で対応する方針を掲げるが、具体的な計画はない。
 MOX燃料工場は10年に着工。審査のため15年から工事を中断している。11月には建設中の建屋の鉄筋約3100本が腐食している可能性があり、長期間工事が止まったことによる影響への対応も必要になる。
 審査書では耐震設計の目安となる基準地震動(最大想定の揺れ)を700ガルと設定。敷地は標高55メートルにあり、津波の影響は受けないとした。重大事故は主にMOX粉末が外部に漏れる恐れがある火災を念頭に置き、遠隔装置による消火や放出経路を遮断するといった対応策を盛り込んだ。建設費などの総事業費は約2兆3400億円を見込む。
 六ケ所村の戸田衛村長は「核燃料サイクルを完成させる確かな一歩になった。工場の完成に向け、迅速に手続きなどを進めてほしい」とのコメントを出した。
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