[2020_12_10_02]富岡・復興拠点外の道路沿い除染へ 対象範囲に家屋200軒(福島民友2020年12月10日)
 
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富岡・復興拠点外の道路沿い除染へ 対象範囲に家屋200軒

 環境省は来年度、東京電力福島第1原発事故に伴う富岡町の帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)外で主要道路沿いの除染に着手する。関係者によると、対象範囲は数十ヘクタールで家屋約200軒が含まれるとみられ、復興拠点外の面積約460ヘクタールのうち人が再び住めるよう除染が必要とされる約110ヘクタールの半分程度が含まれる見込み。町が2028年の実現を目指す帰還困難区域全域の避難指示解除の前倒しにつながる可能性が出てきた。
 環境省が9日、町議会全員協議会で除染の概要を示した。同省や町によると、復興拠点外の除染対象は国道6号と県道2路線、町道計15キロの両側20メートル範囲を軸とする方針。家屋は原則20メートル内に立地していることが条件で、町内の復興拠点外で宅地の除染は初となる。除染と並行して解体申請も受け付ける。道路に接する農地については20メートルを超えても一区画単位で除染対象とする方針。
 各道路はいずれも住民が墓参りなどで一時立ち入りする際の通行に必要なため、復興拠点外を通っていながらも政府が18年に認定した町の復興拠点の整備計画で「復興拠点」の一部に位置付けられた。同省は、復興拠点の放射線量を下げる目的で隣接する拠点外の一定範囲を除染する方針を示しており、町の要望を踏まえ拠点外の道路沿いで実施することを決めた。各道路の除染はほぼ終わっている。
 道路の両側20メートルを範囲とした理由について、同省は「過去に行った試験の成果を踏まえ、20メートル範囲を除染すれば(復興拠点の)線量は十分に低減する」としている。今後、現地調査を行い、対象となる正確な面積や家屋数、除染完了までの期間を算定する。
 町によると、復興拠点外では震災前、約250世帯670人が生活していた。政府は復興拠点外の避難指示解除の方針を示していないが、町は「一部でも除染が始まることで住民の安心につながり、帰還困難区域全域の避難指示解除への足掛かりとなる。広範囲での除染を引き続き国に求める」としている。
 復興拠点外の除染を巡っては、作業員の被ばく線量の低減や除染で出た土の仮置き場を設置するため、同省が既に一部で実施。町は拠点外の再生に向け集中的な除染が必要となる面積について宅地が約16ヘクタール、農地が約94ヘクタールの計約110ヘクタールと試算。除染完了までの期間を2年程度と見込んでいる。
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