[2020_11_02_01]汚染水タンク(福島第一原発)で危険な有機結合型トリチウム生成 海洋中の有機結合型トリチウムの100万倍の濃度 海洋放出で魚介類に濃縮 斉藤章一(双葉地方原発反対同盟)(たんぽぽ舎2020年11月2日)
 
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汚染水タンク(福島第一原発)で危険な有機結合型トリチウム生成 海洋中の有機結合型トリチウムの100万倍の濃度 海洋放出で魚介類に濃縮 斉藤章一(双葉地方原発反対同盟)

◎ 岩倉政城尚絅学院大学名誉教授は、ストロンチウム汚染水タンク内の分析表から驚くべきデータを発見した。それは有機炭素の生成と硫酸還元菌が生育しているという事実である。 2018年12月13日に、東電はストロンチウム処理水を貯蔵している溶接型タンク内の処理水をサンプリングし、分析した結果「有機炭素」が検査したすべてのタンクから検出されたと発表していた。

◎ 岩倉名誉教授はこのデータを発見し、「ストロンチウム処理水に含まれるトリチウムが有機物に取り込まれ有機結合型トリチウム(以下OBTと略す)に変化する事。その濃度はタンク内のトリチウム濃度と同じなので海水中でできるOBTの100万倍であるという(海水中トリチウム平均0.72Bq/L、タンク内汚染水処理水平均73万Bq/L)。 無機トリチウムは生体内半減期が12日だが、OBTになると魚介類に選択的に取り込まれ濃縮されて体の成分となり生体内半減期が40日〜1年にもなる。生物学的濃縮が起こってしまう」と警告している。

◎ 教授は生体濃縮の参考例として、英国の有機結合型トリチウム合成工場からの排水海域の魚介類から高濃度の有機結合型トリチウムの検出をあげている。漁業への被害は風評だけに留まらず深刻なものとなる。

◎ 2019年3月1日号の壱岐新報の記事によると、玄海原発稼働後に壱岐市の白血病死亡率が6倍に増加しているというのだ。 原発稼働前、昭和44年から49年が3.9人/10万人(全国平均3.5人)から徐々に増え始め、平成9年以降は全国平均から6倍近い差が生じているのだ。しかも壱岐市に限らず原発近隣は押しなべて異常な値である。 紙面の関係で掲載できなかったが玄海原発のトリチウム放出量は凄まじい。 2002年から2012年の10年間でトリチウム826テラベクレル、放射性希ガス1880.6ギガベクレルである。

◎ 同紙は、この白血病の数値は、ウイルス性の風土病や他国からの放射性物質などの飛来を疑う考えもあるが専門機関による正確な調査が必要だと訴えている。 既報でトリチウムの危険性について何度か取り上げているが、トリチウムを大量に放出している施設の周辺では世界的に人的被害が報告されている。 事業者や国の機関はいずれも「規制基準内なので因果関係はない」などとうそぶいている。 しかし、人類は核の利用と引き替えにゆるやかな死に向かって歩んでいないだろうか。

(「脱原発情報」2020.10.25 No226 発行:双葉地方原発反対同盟より了承を得て転載)

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