[2020_10_31_05]トリチウム水 正確な情報発信求める 処分方法は賛否示さず(福島民報2020年10月31日)
 
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トリチウム水 正確な情報発信求める 処分方法は賛否示さず

 東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水を巡り、県議会会派の自民党、県民連合、公明党は政府に対し処理水の正確な情報発信に関する一層の態勢強化、実効性のある風評対策などを求めている。ただ、個別の処分方法について賛否を明らかにしていない。共産党は海洋放出に断固反対の立場だ。県民連合は三十日、内堀雅雄知事に緊急要望書を提出した。
 自民党は二十五日にオンラインで開かれた党総裁の菅義偉首相との会談で、処理水の処分に関する県民理解の醸成に取り組むよう訴えた。
 処理水の処分方針の内容にかかわらず処分の妥当性や安全性に関する科学的知見を県内外、海外に発信する必要性を強調した。科学的根拠に基づく丁寧な説明こそが風評対策に直結すると指摘。国が前面に立ち実効性のある風評対策に取り組むよう強く要望した。
 県民連合は三十日の緊急要望で処理水の処分について「県民、国民の理解が十分に深まっていない」との認識を示した。
 漁業や農業の関係者から海洋放出反対や風評を懸念する声が上がっており、現状では世論が十分に醸成されていないと指摘した。県民や国民に対する説明と十分な議論を行った上で処分方法を決定するよう訴えた。
 この他、海洋や大気への放出に加えて地上保管の継続、トリチウムの除去、放射性物質濃度の低減などさまざまな処分方法を慎重に検討するよう求めた。
 共産党は十九日、県に対し緊急の申し入れを行い、「内堀雅雄知事は海洋放出に反対の立場を明確にすべき」と求めた。国民的議論が不十分と強調した。当面は処理水の地上保管を継続し、国内外の英知を集めて処理方法を検討すべきとした。
 公明党は政府に対し、正しい情報発信の重要性を訴えている。党県議団が九月二十六日、郡山市で政府の担当者らと面会し、風評被害などへの懸念を示す県民の声を伝えた。国会議員を通じて実効性ある風評対策の実施も求めている。

■国や東電は責任持つべき 内堀知事

 県議会会派の県民連合から三十日に緊急要望書を受けた内堀雅雄知事は「国や東電は正確な情報発信と具体的な風評対策の提示に責任を持って取り組むべき」との認識を示した。
 内堀知事は海洋放出による風評などを懸念する声がある一方、福島第一原発の立地町などからは処理水の地上保管を継続することにより、まちづくりや住民帰還への影響を危惧する意見もあると指摘した。「幅広い意見を聞きながら慎重に対応方針を検討するよう国に求める」と答えた。
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