[2020_10_25_01]【証言あの時】前双葉町長・井戸川克隆氏 県混乱...県外避難決断(福島民友2020年10月25日)
 
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【証言あの時】前双葉町長・井戸川克隆氏 県混乱...県外避難決断

 「間に合わなかった」。2011(平成23)年3月12日午後3時36分、双葉町長だった井戸川克隆は、東京電力福島第1原発1号機の爆発を地響きとごう音で感じ取った。間もなくして空が薄暗くなり、静かにひらひらと原発の断熱材が降ってきた。
 町内の高齢者施設で避難誘導に当たっていた井戸川は、職員らに「建物の中に入れ」と指示した。あれだけ原発は壊れないと言っていたではないか―。井戸川は悔しさと焦り、そして強い怒りを感じた。
 住民の避難先となった川俣町に着いた井戸川は、13日にスクリーニング検査を受ける。「問題ありません」。その答えに納得できず県と14日朝に再検査する約束をしたが誰も来ない。待っている間に線量計を見ると、針が振れた。放射性物質が川俣に届いたのかと思った。
 14日夕、福島市の自治会館に設けられた県災害対策本部に飛び込んだ井戸川は、慌ただしく動く職員を目にする。この時、「この混乱している対策本部に町民の命を預けられない。自分でやるしかない」と覚悟したという。
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