[2020_08_07_02]若手の成長が「財産」 原燃再処理工場 審査責任者の越智氏 事故対策で安心感醸成(東奥日報2020年8月7日)
 
 六ヶ所再処理工場の安全審査で、設備審査の責任者を務めた日本原燃の越智英治執行役員再処理・MOX燃料加工安全設計総括(66)が6日、青森市内で本紙の取材に応じた。6年半に及んだ審査では若手社員の成長が「一番の財産」と述べ、.「想定しえない事故まで考えたことで、安全性が確保され、地元の人にも安心していただけるような施設になった」と評価した。
 審査は2014年1月に始まり、越智氏は設備分野で開かれた72回の会合全てに出席した。
 序盤は議論がかみ合わず原燃は何度も原子力規制庁の厳しい指摘を受けた。「11年に福島第1原発事故が起き、世の中の安全規制に対する認識が変わった。新規制基準についてはわれわれの理解が不十分だったし、先例のない施設だけに当初は互いに暗中模索の部分があった」と振り返る。
 トラブルや不適切な対応の発覚が相次ぎ、企業体質に疑問符が付けられる事態もあったが「われわれに対する期待があるからこそ厳しい言い方をされたと思う」と語る。
 審査対応には多くの社員が関わった。「再処理工場の設計も建設も経験していない若手が一生懸命頑張つた。設計思想まで含めて工場を理解し、技術的に成長したことが財産。それが安定運転につながるだろう」と期待感をにじませた。
 越智氏は愛媛県出身。日立造船勤務を経て、1987年に原燃の前身組織である「日本原燃サービス」に入社した。以来、施設の設計を主に担当してきた。
 再処理工場が着工した際は「世界中にあるタワークレーンの3分の1が集結していると言われるくらい活況を呈していた」という。「1日も早く工場を完成させ、日本のエネルギーに貢献するという目標は当時と何ら変わっていない」と強調した。
 再処理工場は2021年度上期の完工を目指すが、審査で議論した安全対策を具体化する実際の工事や、そのための認可申請など多くの手続きが控え、目標達成は厳しい状況。越智氏は「合格は一つのけじめでしかない」とし「審査で約束した事項が申請や工事にしっかり組み込まれているか責任を持ってみていく」と話した。  (加藤景子}

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