[2020_08_02_03]核燃サイクル Q&A解説(4) 総事業費13.9兆円 原資電気代 負担増も(東奥日報2020年8月2日)
 
 日本原燃が青森県六ヶ所村に建設中の使用済み核燃料再処理工場の総事業費は13.9兆円に上ります。原資は私たちが支払う電気料金です。
 Q 事業費の内訳は。
 A 工場建設などの設備投資に4・4兆円、完成後の操業費が7・5兆円、操業終了後の廃止に1・6兆円かかる見込みです。取り出したプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)の粉末を燃料に加工する工場も別に必要で、費用は2・3兆円です。
 Q なぜ電気料金で賄うのですか。
 A 再処理の事業費は原発を持つ電力会社が負担します。電力会社は発送電や人件費など全ての費用を原価とし、そこに一定の利益を上乗せする総括原価方式で電気料金を決めていて、再処理の費用も組み込まれています。電力自由化による電力会社の競争で地域独占は崩れましたが、総括原価方式は残っています。
 Q 費用はこれで収まりますか。
 A 今後も増える可能性が大きく、私たちの負担増につながる恐れがあります。建設費は着工時の7600億円から増え続けています。また運転終了後に放射性物質で汚染された施設を解体、撤去する費用も想定する1・6兆円に収まるか不透明です。日本原子力研究開発機構の再処理施設(茨城県)の廃止費用は約1兆円ですが、原燃の再処理工場の処理能力は約4倍あり、規模が大きいからです。
 Q 工場が完成すれば核燃料サイクルが実現するのですか。
 A 完全に実現するとは言えません。国と電力会社はMOX燃料を原発で燃やすプルサーマル発電で使った後、その使用済み燃料をさらに再処理して使う方針ですが、技術的な問題があるため、新たに再処理工場や燃料加工工場をつくる必要があります。
 Q 新しい再処理工場の規複や場所は。
 A 議論は全く進んでいません。国の原子力委員会は2010年ごろから検討を始めるとしていましたが、東京電力福島第1原発事故の影響もあり棚上げされたままです。こういう状況なのに新工場の費用はすでに電気料金に転嫁されています。電力業界は07年、新工場の建設などに11兆円必要と試算しています。
   =終わり=
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