[2020_07_18_02]住民の意思など聞くつもりはない 県民投票条例案、否決 県民が再稼働と直接民主主義との両方に関心を持つことはとても重要なことです。 阿部功志(東海村議会議員)(たんぽぽ舎2020年7月18日)
 
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住民の意思など聞くつもりはない 県民投票条例案、否決 県民が再稼働と直接民主主義との両方に関心を持つことはとても重要なことです。 阿部功志(東海村議会議員)

○こちらは県議会についてです。6月の県議会で東海第二原発再稼働に関する県民投票条例案が審議されました。
 初めに言えば私は原発の再稼働を投票で決めることが最適だとは考えません(17年11月「あべニュース」9号に書きました)。原発事故の時、どうしても逃げられない人が出ます。その人たちを結局見殺しにするかどうか、これは多数決になじみません。私は、これ一つとっても原発は絶対悪だと考えるので再稼働には無条件で反対です。(最終的には住民の多数の意見に左右されるとしても、民主主義はそのプロセス過程が何より大切です。)
○とはいえ、この問題をきっかけに県民が再稼働と直接民主主義との両方に関心を持つことは、とても重要なことです。
 県でも村でも、議員は再稼働という一つの課題(ワンイシュー)で投票判断されたわけでも、有権者からすべて任せるよと「白紙委任」されたわけでもありません。その上、選挙では多くの議員が再稼働の意思表示を曖昧にしました。なのに「議員は住民の代表だ」「全権委任されている」から議員が決めるのだ、などと嘯(うそぶ)くのは図々しい思い違いです。
○県民投票条例案は、6月23日の本会議で、自民党・公明党・県民フォーラム等の反対で、簡単に否決されました。自民党の議員会長が本会議前から「廃案になってよかった」と発言していたように、初めから結論を決めていて、不勉強のまま、議論を避け、たった1日で強引に採決です。これは86,703人の署名者の意思を平然と踏みにじるもので、署名関係者は、あまりに自公などの県議の「レベルが低い」と憤(いきどお)っていました。
 再稼働をするかどうか、でなく、県民投票をするかどうか、なのに、住民投票の意義をわざと再稼働論にずらした流れはとても危険です。条例に反対の議員は民主主義とは何かを理解できておらず、県民投票や話し合いでは再稼働推進側には勝ち目がないと、数の力で押しつぶしました。
 そしてこれは議員を選ぶ側の考え方や選挙制度の問題もあり、根は深いのです。
○下路(しもじ)健次郎県議は、3月の県議会一般質問で、情報不足の中での投票やアンケートを、ビートルズに例(たと)えて「ジョンかポール、どちらがいいかというアンケート」は無意味だと、原発問題に全く関係ないメンバー2人の比較にすり替えました。
 この例えは県民投票の意義とも再稼働の賛否とも完全にズレており、この程度の論理でしか語れないのが原発を推進したい人の実情です。
 原発問題を十分に理解できていない議員が、住民の意思を聞くつもりもなく「我々に任せておけばいいのだ」と私たちの生殺(せいさつ)与奪(よだつ)の権を握る、これがどれほど傲慢(ごうまん)で恐ろしいことか。

 あべ こうし ニュース−原発をなくして安全なふるさとに−  
    (7月15日(金)発行 第20号より了解を得て転載)
KEY_WORD:東海第2投票条例_:TOUKAI_GEN2_: