[2020_06_09_03]<東海第二再稼働 なるか県民投票>県議会に条例案提出 知事「慎重に検討する必要」(東京新聞2020年6月9日)
 
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<東海第二再稼働 なるか県民投票>県議会に条例案提出 知事「慎重に検討する必要」

 大井川和彦知事は八日、日本原子力発電東海第二原発(東海村)の再稼動の賛否を問う県民投票条例案を県議会に提出した。条例案に付けた「意見」では「県民の意見を聞くには、県民投票を含めさまざまな方法がある。慎重に検討する必要がある」と指摘するにとどめ、条例案への賛否は示さなかった。条例案の審議は、十八日に予定される防災環境産業委員会の採決が最大の焦点となる。(宮尾幹成、鈴木学)
 大井川知事は地方自治法に基づき、「意見書」を条例案に添付したが、本会議での議案説明では内容に触れなかった。
 一方、条例制定を直接請求した「いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎共同代表が二十分間、本会議で請求代表者として意見陳述。「徹底した議論で知恵を集め、バトンを県内二百四十三万人の有権者へとつないで」と、県民投票の実現を訴えた。
 陳述を終えた徳田さんは、知事の意見に「決して反対ではないと思われる。そういう意味では大変ありがたい」と述べ、県議会に対しては「ボールは投げられた。議員の皆さんには前向きにご検討頂きたい」と求めた。知事は報道陣に対し、徳田さんの陳述を「素晴らしい提案説明」と評価した上で、「県議会の今後の議論を注目していきたい」とだけ語った。
 条例案は二十三日の本会議で採決される。それに先立ち、十八日には防災環境産業、総務企画両委員会の「連合審査会」での参考人質疑と、防環産委での採決がある。県議会の過半数を占める最大会派「いばらき自民党」が防環産委の過半数も確保しており、この日の委員会採決で事実上、審議の行方は固まる。
 いばらき自民党は条例案への態度を明らかにしていないが、会派幹部の一人は本紙の取材に「地域地域で負託を受けた議員が県民を代表しており、個人的には条例は必要ないと思う」と話している。

◆一人一人が熟慮 討議する機会に 「県民投票の会」徳田太郎さん

 「いばらき原発県民投票の会」の徳田太郎共同代表による意見陳述の要旨は次の通り。
 東海第二原発の再稼働そのものでもなく、原子力、エネルギー政策でもなく、「いかにして民意をはかるのか」という政策決定の過程を問う議案だ。
 議員が県民代表としての正統性を有することは言うまでもないが、選挙時に明確になっていない争点への意思を完全に反映したものであるとするのは困難だ。住民投票などの手段で補完することが、法的、制度的にも期待されている。
 私たちは県民投票を、投票の瞬間だけではなく、投票箱に一票が投じられるまでのプロセスの総体として捉えている。十分かつ正確な情報が提供されること、一人一人が熟慮し討議する機会が確保されることが極めて重要だ。
 県民投票の予算規模は、億単位となることが想定されるが、実施の時期や方法によって削減が可能だ。自治の担い手として、県民が成長するための貴重な「投資」としても捉えることができるのではないか。
 徹底した議論により知恵を集め、バトンを県内二百四十三万人の有権者へとつないでくださることをお願い申し上げる。
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