[2020_06_08_05]旧経営陣5人が関電に13億円の損害 金品受領問題で調査委認定(毎日新聞2020年6月8日)
 
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旧経営陣5人が関電に13億円の損害 金品受領問題で調査委認定

 関西電力元幹部らの金品受領問題を受け、関電が3月に設置した「取締役責任調査委員会」(委員長・才口千晴弁護士)は8日、岩根茂樹前社長ら元取締役5人が注意義務に違反し、関電に損害を与えたと認定した報告書を発表した。調査委によると、一連の問題で5人が関電に与えた損害は少なくとも約13億円に上る。関電の監査役会は調査委の発足時に「判断を最大限尊重する」としており、報告書を踏まえ、旧経営陣5人を相手取り損害賠償請求訴訟を起こすかどうかを17日までに判断する。
 調査委が注意義務違反を認定したのは、岩根前社長のほか、森詳介元相談役、八木誠前会長、豊松秀己元副社長、白井良平元取締役の計5人。歴代幹部ら計75人が30年以上にわたり、福井県高浜町の元助役から計約3億6000万円相当の金品を受け取っていた問題について、元助役に金品受領の拒絶を申し入れ、金品を会社で管理するなどの義務を負っていたにもかかわらず、森氏を除く4人が義務を怠ったと認定した。
 また、東日本大震災後に電気料金を値上げした際に合理化の一環として役員報酬を削減したものの、退任後に計約2億6000万円を補てん(ほてん)していた問題については、森氏と八木氏が方針を決定したとして注意義務違反があると認めた。
 損害については、本来より高い金額で原発関連工事を発注するなどで3億6000万円、テレビCMの中止を余儀なくされたなどの営業上の損失として7億円が生じたとした。さらに、失った信頼を回復するための広告などの費用を2億5000万円と概算。時効を考慮すると、関電が法的に回収できる金額は少なくとも12億7000万円と見積もった。
 関電は3月、金品受領問題を巡る個人株主からの提訴請求を受け、調査委を設置した。【鈴木健太】
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