[2020_04_22_08]岩手・北海道 津波30メートル級 日本・千島海溝地震 「東日本」超えも 内閣府想定(毎日新聞2020年4月22日)
 内闇府は21日「東北沖の日本海溝沿いと、その北に連なる千島海溝沿いの巨大地震で想定される津波の高さと浸水域を公表した。津波は、北海道から千葉県まで太平洋側の広い範囲で予想され、岩手県と北海道で最大30メートル近くに達する。岩手県北部や青森県では、東日本大震災を超える高さだ。津波で自治体庁舎が水につかり、浸水の深さが10メートルを超える地域もある。
 想定が公表されたのは、日本海溝沿いの三陸・日高沖と、千島海溝沿いの十勝・根室沖を震源とする二つの巨大地震。2011年に東日本大震災が日本海溝の宮城県沖で起きたことを受け、国は最大クラスの地震を見据えて分析を進めてきた。いずれも東日本大震災の震源地より北にあり、過去の状況から最大級の津波発生が切迫しているとされる。内閣府は今回、二つの地震が別々に起きたと仮定。津波は満潮時に襲来し、津波より低い堤防は破壊されるという「最悪の事態」を考慮して浸水域をシミュレーションした。
 千島海溝地震の場合、地震の規模を示すマグニチュード(M)は最大9・3。東日本大震災(9・0)や南海トラフ巨大地震の想定(最大9・1)を上回る。被害は北海道東部の太平洋側が甚大で、厚岸町と浜中町で震度7と予想される。主な地点の津波の高さは、えりも町27・9メートル▽根室市22・0メートル▽釧路市20・7メートル。人が流される危険がある30センチの津波の到達時間は、最短で地震発生から10分。7市町の庁舎が浸水する。
 最大でM9・1となる日本海溝地震の場合、東北を中心に北海道や関東の一部も浸水する。岩手県では、全体で最も高い宮古市の29・7メートルをはじめ、木造家屋が全壊・流失する5メートルを超える10〜20メートルの高い津波に襲われる。県北部の洋野町では19・9メートルで、東日本大震災を超える高さだ。沿岸部を中心に浸水被害が大きくなるが、内閣府は、住民の不安をあおるとして岩手県のみ浸水想定域を明らかにしなかった。
 青森県では八戸市の26・1メートルを最高に、太平洋沿岸に10〜20メートルの津波が押し寄せる。県内全域で東日本大震災を上回る高さになり、県庁も浸水被害に遭う。宮城県では最大15・3メートル、福島県では最大19メートルの津波となる。北海道では襟裳岬(えりも町)より西を中心に10メートル程度の津波に見舞われ、19市町で庁舎が最大10・6メートル浸水する。茨城、千葉両県は高いところで6メートル超の津波となる。【黒川晋史】
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