[2020_02_22_07]再処理安全審査 最終盤も「合格」視界不良 規制委会合 6年かけ終了 「原燃対応 信頼度薄い」(東奥日報2020年2月22日)
 
 日本原燃が2021年度上期の完工を目指す六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)の安全審査で、原子力規制委員会は21日、東京都内で、地震・津波分野で最終となる審査会合を開いた。規制委は原燃の説明を了承し、設備分野と合わせて6年にわたった審査会合が一通り終了。原燃は合格に必要な補正申請書の作成に注力するが、規制委は検討不足などの不備が目立った原燃の審査対応を「信頼度が薄い」(原子力規制庁幹部)と不安視。安全審査は最終盤だが、依然として合格を得る時期は見通せていない。                       (佐々木大輔)

 再処理工場は国の核燃料サイクル政策の中核施設。原発の使用済み核燃料を化学処理し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用するプルトニウムとウランを取り出す。原燃は14年1月に審査申請して以降、規制委側と113回に及ぶ審査会合で議論を重ねてきた。
 原燃は審査の過程で、耐震設計の目安となる揺れ「基準地震動」を申請時の600ガルから700ガルに引き上げ、津波は標高40メートル以上の敷地に到達しないと説明。規制委は21日の審査会合で原燃の主張を了承し「審査会合で審議すべき論点はない」(石渡明委員)と締めくくった。
 18日に終了した設備分野を含め、審査会合の終結で合格への動きが加速するかに見えた。しかし更田豊志委員長は19日、会見で合格の見通しを問われて「時期尚早」と回答。補正書の提出を受けていない段階から再提出や審査再開の可能性に言及し、慎重な構えを強調した。
 「補正書に必要な事項が全部入ってくるかを考えると(原燃に対する)信頼度は薄い」と、規制庁幹部は率直に言う。規制庁審査チームは補正書のたたき台について議論した審査終盤、資料や説明の不備を繰り返す原燃に再三「検討不足」「基本的な理解が足りない」と苦言を呈してきた。
 補正書は実質的な合格証「審査書案」の下敷きとなる。これまでの会合で了承を得た資料や説明より緻密で「もっと体系的な整理が必要」(審査チーム員)という。
 規制当局は一様に、補正書の出来が合格の時期を左右するーとの見方だ。原燃幹部は21日の取材に「(補正書を)できるだけ速やかに提出したい」と答えた。
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