[2020_02_06_04]東海第二広域避難計画案 鉾田市 住民説明会で不安の声(東京新聞2020年2月6日)
 
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東海第二広域避難計画案 鉾田市 住民説明会で不安の声

 東海村の日本原子力発電東海第二原発から三十キロ圏に入る鉾田市は、放射能が漏れる深刻な事故に備えた広域避難計画案を作り終え、住民説明会を開いている。計画は人口の三割に当たる約一万四千人が対象で、市は市民の意見を反映し、三月末までに正式に策定したいとする。ただ、避難先が三十キロ圏に近いことや複合災害を想定していないなど課題があり、住民から不安の声が漏れる。 (水谷エリナ)
 避難計画の策定は三十キロ圏の県内十四市町村に義務付けられている。鉾田市は、北部の一部が三十キロ圏に入っている。
 計画案によると、市内の旭東、旭北、旭西の各小学校区の全域と旭南、鉾田北の各小学校区の一部が三十キロ圏。計三十四行政区の約一万四千人が対象で、地区ごとに、圏外の市内や鹿嶋市内の避難所二十一カ所に向かうことを想定する。
 原則マイカーで避難し、国道51号などの幹線道路を使う。マイカーで避難できない人や、体が不自由で避難の際に手助けが必要な人は、バスや福祉車両などを手配する。
 市は複合災害への対応として、避難先や道路が被災した場合の第二の避難先や代わりの経路の確保に向け、県と調整を進めるが、いつ決まるかは分からない。また、スクリーニングや甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤配布の体制の具体化も課題として挙がっている。
 鉾田市造谷の旭地区学習等供用施設で三日、初回の説明会があり、市民ら二十三人が出席した。参加者からは「カシマスタジアムでサッカーの試合の後も渋滞するのに、整然と避難できるのか」や「ペットを含めた動物や家畜の避難はどうするのか」「(再稼働せず)元を断つことを考えるのも大事だ」などの質問や意見が出た。
 参加者が少ないことに「地区ごとに説明会を開くべきでは」や「計画をどう周知させるのか」と話す市民もいた。
 三十キロ圏に近い市内に避難先を指定したことにも、疑問視する声が出ている。市に再稼働反対の表明を求める署名を集めた市民団体の木村みね子さん(67)は「放射能が三十キロで止まるような設定で、避難先が随分、近いと驚いた。避難先に放射能が先回りする可能性もある」と指摘する。
 実際、東京電力福島第一原発事故では、五十キロ圏内の福島県飯舘村の住民らも避難を迫られた。風向きによっては、鉾田市内全域が強い放射能にさらされ、避難所が使えなくなる恐れがある。
 市危機管理室は「質疑やアンケートで出た市民の意見も踏まえた上で、三月末までに策定を目指す。訓練などを通じて随時検証もしていきたい」としている。
 説明会は六日に一回、九日に二回、市内各所で開かれる。
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