[2020_02_05_02]小泉環境相のヨウ素剤発言で露呈した規制委の「独立性」 規制委員会の「独立性」は依然として看板だけ 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕(たんぽぽ舎2020年2月5日)
 
参照元
小泉環境相のヨウ素剤発言で露呈した規制委の「独立性」 規制委員会の「独立性」は依然として看板だけ 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕

 2020年2月4日に小泉環境相は、閣議後の記者会見で5〜30kmのUPZについても安定ヨウ素剤の配布を推進すると発言した。
 一見すると防護対策の推進のようにも思えるが、制度に詳しい人に聞くとこれは非常に問題のある発言だという。
 というのは、ヨウ素剤は規制委員会の所管だが、規制委員会は福島第一原発事故の反省から、独立性を高めていわゆる「三条委員会」として設置されたものであり、内容が何にせよ閣僚が規制委員会に口出ししてはならないはずだという。
 すなわち建前としては、各省庁の所管で設置される御用学者を集めた「シャンシャン委員会」とは違うということになっている。
 しかしその独立性が発揮されているかどうかは怪しい。国の原子力防災会議(議長は首相)では「高い独立性を有する規制委員会が、世界で最も厳しい新規制基準に適合すると認めた原発は再稼働を進める」と言っている。
 しかし実際の原子力防災会議では、規制委員会はきわめて低い位置づけしか与えられていない。
 各地域の防災対策の検討では規制委員長が出席するが、常に「○○地域の緊急時対応は具体的で合理的なものであると考えられる」と一言発言するだけで、省庁のいち担当者ていどの役割しか与えられていない。
 これで画に描いた餅に過ぎない避難計画が実効性があることになってしまう。
 規制委員会の「独立性」は依然として看板だけではないか。

☆ 「PAZ」は原子力発電所から概ね5km圏内。
  「UPZ」はPAZの外側の概ね半径30km圏内。
・関連報道
 原発30キロ圏にヨウ素剤 本県などへ配布要請 小泉担当相
 県内対象は94万人  (2月5日茨城新聞朝刊1面より見出し)
 詳しくは こちら
KEY_WORD:FUKU1_: