[2020_01_26_01]伊方原発、一時電源喪失で「定期検査」中断へ 原因調査へ(毎日新聞2020年1月26日)
 
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伊方原発、一時電源喪失で「定期検査」中断へ 原因調査へ

 四国電力と愛媛県は25日、四電伊方原発(同県伊方町)で発電所内の送電線が遮断され電源が一時喪失し、ほぼ全面停電したと発表した。非常用発電機の起動などで約10秒以内に復旧しており、放射能の放出や漏えいはないとしている。同原発で全面的な規模の停電が発生するのは初めてという。2019年12月に3号機が定期検査入りして以降トラブルが相次いでおり、四電は定検の作業を当面すべて取りやめる方針。
 四電と県によると、25日午後3時45分ごろ、3号機の定期検査の一環で、1、2号機の屋内開閉所(放射線管理区域外)の送電線の保護装置の点検をしていたところ、なんらかの原因で装置が作動し、送電線4回線が遮断された。原因は不明で今後調査する。
 この影響で、1、2号機と、当時、作業のためにこの送電線から受電していた3号機が停電。1、2号機は2、3秒後、別系統の送電線からの受電に自動で切り替わった。3号機は約10秒後に非常用ディーゼル発電機1台が起動して電力を供給し、その後、手動で別系統の送電線からの受電に切り替えた。3号機で非常用ディーゼル発電機が自動起動したのは初めて。
 2号機は18年5月に運転終了し、3号機は定検中のため運転を停止しているが、いずれも燃料プールに使用済みなどの核燃料が保管されているため冷却が必要。3号機のプールの温度は停電前(午後3時)の33・0度から、同5時に34・1度まで1・1度上昇した。2号機は0・2度の上昇だった。四電は「有意な変化ではない」としている。中央制御室の計器などは停電しなかった。
 伊方原発では今年に入り、定検中の3号機原子炉で、核分裂反応を抑える制御棒が約7時間引き抜かれた状態になったほか、クレーンでつり上げた燃料集合体を点検用ラックの枠に接触させるなどトラブルが相次いでいる。

 25日深夜に県庁であった記者会見で四電は「一瞬とはいえ外部から電力供給が途絶えたものであり、重大なものであると認識している」とし、トラブルの続発について「心よりおわび申し上げる」と謝罪。「原因究明に全力を挙げていく」とした。県の担当者は「県民に不安を生じさせたことは誠に遺憾。看過できない事態だと考えており、厳しく対応していく」と話した。【木島諒子】
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