[2020_01_24_03]要請文 伊方原発3号機定期検査での度重なる事故に抗議し廃炉を求めます。(伊方から原発をなくす会2020年1月24日)
 
参照元
要請文 伊方原発3号機定期検査での度重なる事故に抗議し廃炉を求めます。

2020 年 1 月 24 日

四国電力株式会社
取締役社長 長井啓介殿
伊方原子力発電所所長 川西徳幸殿

伊方から原発をなくす会
代表 近藤亨子

要請文

    伊方原発3号機定期検査での度重なる事故に抗議し廃炉を求めます。

 2020 年 1 月 20 日、定期点検中に燃料集合体を点検装置に移動させていたとき、燃料集合体が点検装置のラックに乗り上げたために荷重が急減し、燃料集合体落下信号が発信されたと発表されました。その発表のなかで、貴社は「落下はしておらず、外部への放射能の影響もない」とし、「原因調査するとともに燃料集合体に傷はないか調べる」と述べられました。
 貴社が行っている今回の定期点検は、ウラン燃料に比べて危険度が指数関数的に増加するといわれているプルトニウムとウランを混ぜ合わせた『MOX 燃料』の取り出し作業で、全国初として注目されています。その定期検査で、誤って制御棒を引き上げたかと思えば、次は燃料集合体をラックに乗り上げたというのですから、貴社の原発事業者としての危機管理能力は筆舌に尽くし難い低さであるとしか思えません。
 この危機管理能力の低さについては、先日の『制御棒引上げ事故』のときに、原子力規制委員会の更田豊志委員長は「私の知る限り前例はない」と発言し、規制委員の山中伸介委員は「事業者の深刻度や捉え方が少し軽すぎるのではないか」と指摘されています。原子力規制委員会に苦言を呈されても、指摘されても、ケアレスミス事故を繰り返し起こす貴社は、放射能を扱うのを即刻止めるべきです。
 貴社のこの体質は、昨年末に出された「南海トラフ巨大地震や中央構造線による地震の警報が出ても運転を継続する」という方針にも、子どもたちを原発敷地内に入れての見学にも共通する前提「原発事故は起こらない」という過信に起因するものです。
 このような事業を行っていることで、現場には何の根拠もなく「原発事故は起こらない」という空気が流れ、原子炉内の作業さえも緊張感のないルーチンワークと化し、今回の連続して前例にない事故を引き起こす結果となったのです。
 「申し訳なく思っている。今後は一層気を引き締める」と謝罪されましたが、周りからは「四電は何をやっているんだ」「また何を仕出かすやら分からんぞ」との事業者失格の声が高まっています。
 2020 年 1 月 17 日に広島高裁は、「活断層がある可能性が否定出来ない」という理由で運転してはならないと判断しました。この「活断層があるから」でなく「ある可能性が否定出来ない」から運転してはならないという判断こそ、放射性物質に対する危機管理の考え方なのです。貴社におかれては、制御棒引上げ事故も燃料集合体ラック乗り上げ事故も、「原因は作業現場のミスで環境に影響がなかったので大丈夫」と幕引きをせず、「人的事故も原発事故も起こること」を前提としての四国電力の方針を出されることを、取締役社長及び伊方原子力発電所所長に強く要望致します。そして、私たちは、その方針こそが原子力に頼らない発電に繋がり、この度の連続人的事故が、四国電力の叡智の礎となることを希求して止みません。
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