[2019_12_04_01]核のごみ拒否へ 白浜町が条例制定の方針(紀伊民報2019年12月4日)
 
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核のごみ拒否へ 白浜町が条例制定の方針

 和歌山県白浜町は3日、原子力発電所から出る放射性廃棄物(核のごみ)の受け入れを拒否する条例を制定する方針を明らかにした。町議会12月定例会に条例案を提出する。議会で可決されれば、町内での原子力関連施設の立地は事実上、不可能になる。
 2017年に経済産業省が核のごみの最終処分場の適地を色分けした「科学的特性マップ」を公表後、全国で受け入れを拒否する条例が施行されている。
 町によると、同種の条例は県内の市町村では初めてになる。井澗誠町長は本紙取材に「(放射性物質を)受け入れないための条例を制定することは、将来に禍根を残さないためで、町の発展につながる。大地震による被害も想定されており、紀伊半島にそういう施設(原子力関連施設)は似合わない、というのが大方の意見だろう」などと語った。
 町議会の全員協議会が3日にあり、町が条例案を初めて示した。名称は「安心・安全なまちづくり推進条例」。
 条例案では「まちづくりに影響を及ぼすと危惧される事項を認めない」とし、事項の一つに「放射性物質の町内への持ち込み、およびこれらを貯蔵、処分する施設を町内に建設すること」と明記した。放射性物質の説明として「原発など原子力関連施設の核燃料並びにこれらから生ずる使用済み燃料および放射性廃棄物」という文言も入れた。
 町には豊かな資源があり、それらが幅広い産業に経済効果をもたらしていることや、そうした環境を守り続けていかなければならないという内容の前文も各条項に先立って付けている。
 白浜町では、旧日置川町で昭和50年代以降に原発誘致計画の問題が浮上。推進、反対それぞれの立場での住民活動が活発になり、町を二分する問題に発展した。
 最近では、関西電力が旧日置川町に土地を所有しているとして、一部住民の間から「使用済み核燃料の中間貯蔵施設ができるのではないか」との疑念が表面化。町議会では17年以降、町の姿勢をただす質問が続いたほか、市民団体からの要望提出などが相次いだ。井澗町長は当初、「(国や電力会社から)申し出があれば話は聞く」などと答えていたが、後に「受け入れる考えはない」と表明している。

【白浜町での中間貯蔵施設などを巡る主な発言や動き】
17年12月  
・町長が「何の情報もないが申し出があれば話を聞く」と町議会で答弁
18年2月  
・町長が「(受け入れは)頭の中にない」と町議会で答弁
・市民団体が「受け入れ拒否」の表明を求め町に要望書を提出
(4月には別の市民団体も同様の要望)
  6月  
・町長が「受け入れは考えていない」と町議会で答弁
  7月以降
・町内で施設受け入れ反対のための団体が設立
  8月  
・受け入れ拒否の議会議決を求め住民有志が町議会へ請願を提出
・市民団体が「受け入れない」表明を求め町に要望書を提出
  9月  
・町長が「申し入れがあっても協議する考えはない」と町議会で表明
  12月  
・町議会が8月に提出された請願を不採択に
・市民団体が「拒否」条例の制定を求め町に要望書を提出
19年9月  
・町長が「受け入れないための条例や宣言の制定を検討」と町議会で答弁
・市民団体が条例の制定を求め町に要望書を提出
  12月  
・町が町議会に「拒否」条例を提案へ

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